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“プリンター商売”カプセル攻防記

ドル箱商品「ネスプレッソ」はこうして生まれた(下)

2010年8月24日(火)

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 今年6月、食品世界最大手ネスレが米食品大手サラ・リーを訴えた。サラ・リーが、ネスレのコーヒーシステム「ネスプレッソ」で使える“非純正”カプセルを販売し、ネスレの特許を侵害しているというのが、その理由だ。

 ネスプレッソは、コーヒーの粉を密封したカプセルを使ってエスプレッソを入れる、ネスレ独自のコーヒーシステムだ。最大出力19気圧のポンプを制御し、コーヒーのブレンドの種類に応じて11~15気圧をカプセルに加えてエスプレッソを抽出するという、同社が培ってきたコーヒー分野のイノベーションの粋を結集した商品である。

 ネスレでネスプレッソや販売・マーケティングを担当するエグゼクティブ・バイスプレジデントのペトレア・ハイニケ氏は、「サラ・リーの特殊性は、彼らのカプセルがネスプレッソで使えてしまうこと。これまでも類似のカプセルはたくさん出てきたが、各社の専用マシンでしか使えなかった。ネスプレッソで使える非純正品が登場したのは、今回が初めてだ」と訴訟に挑んだ理由を打ち明ける。

イノベーションを守る1700件の特許

ネスレが約25年前に発売した初代「ネスプレッソ」

 ネスレは、ネスプレッソとその関連商品に関して約1700件の特許を保有している。1986年に最初の商品を発売して以来、技術に改良を施すたびに特許を積み重ねてきた。最初のマシンは古くからあるエスプレッソマシンのようにハンドルがあり、そこにカプセルを入れる構造だったが、その後はカプセルを本体内に隠すように改良した。最近では電源が自動的に切れる機能を追加するなど、環境に配慮した改善を数多く施している。

 特許の多さは、約25年もの歳月をかけてカプセル事業をドル箱に育て上げてきた、ネスレの執念を物語っている。ネスプレッソは、ネスレが販売する“純正”カプセルしか使えない構造であり、それを膨大な数の特許で守ってきたことが、年間28億スイスフランにも達した売り上げを支えてきたのだ。

高収益支える“プリンターモデル”

 その収益モデルは、プリンターを安く売り、消耗品であるインク・カートリッジで儲けるキヤノンや米ヒューレット・パッカード(HP)などのプリンターメーカーと同じと言えば分かりやすいだろう。

 一般的にプリンター事業は、プリンター本体を薄利で販売する一方、高い利益率を確保した純正インク・カートリッジを継続的に売ることで、全体として高収益モデルを作り上げている。そのため、キヤノンやHPは、自社のプリンターでも使えてしまう非純正のインク・カートリッジが市場に出回るたびに、そのメーカーを特許侵害で訴えてきた。

 ネスレがサラ・リーを訴えた構図も同じである。「利益度外視で売るプリンター業界ほど極端ではない」(ハイニケ氏)というが、コーヒーマシンで顧客を囲い込み、消耗品として専用のカプセルを売り続けるビジネスモデルが、うまみの大きいことには変わりはない。

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「大竹剛のロンドン万華鏡」のバックナンバー

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「“プリンター商売”カプセル攻防記」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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