「「これからは中国」でホントに大丈夫?」

夜の街で揺れ動く日本人駐在員

第3回:誰も語らない「もう1つのチャイナリスク」

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2010年8月30日(月)

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 中国進出のリスクは、商習慣の壁や、現地での雇用の難しさだけではない。“駐在員の暴走”も、中国で事業を手掛ける経営者が認識しておかねばならない問題だ。単身赴任した日本人男性駐在員を待ち受ける落とし穴について解説する。

 事件は2009年7月4日、上海の西にある国際的な観光都市、江蘇省蘇州市で起きた。現地の大型工業団地に進出している日系企業に勤務する30代の日本人駐在員が、市内のバーで働く中国人ホステスを刺殺。殺人の罪で身柄を拘束されたのだ。

 現地からの報道を総合すると、駐在員は4日の夜、1人でバーを訪れた。最初は、被害者のホステスとソファで座って話していたが、しばらくして叫び声が店内に響き、ほかの店員が駆けつけると、既に女性は果物ナイフで全身6カ所を刺されていた。直ちに病院に搬送されたものの、死亡した。

 駐在員は店の常連客で、2008年ごろにホステスと知り合い、“親密な関係”にあった。毎月の生活費を渡していたほか、さまざまな生活用品も買い与えていたという。ところが、女性には別に恋人がおり、事情を知った駐在員が激高し凶行に及んだとみられる。

 2009年11月、蘇州市中級人民法院は、この駐在員に無期懲役の判決を下した。駐在員は控訴せず、刑が確定したと伝えられる。

地元では「起こるべくして起きた」という声

「少なくとも江蘇省では前例がない」といわれる日本人駐在員による殺人事件。しかし、地元・蘇州では、「あのような事件がいつ起きても不思議ではないと思っていた」(現地在住の40代女性)という声が少なくない。

 実際、刑事事件にまで発展しなくても、単身赴任した男性駐在員が女性トラブルに巻き込まれることは珍しくないという。その裏には、現地にはびこる、駐在員向けのさまざまな非合法ビジネスの存在がある。

日本人駐在員がトラブルに巻き込まれることは珍しくない(写真はイメージ)

 日本人駐在員は現地、特に地方都市では依然として“高給取り”である。当然、場所によっては、そんな駐在員を狙う怪しい商売が横行することになる。

 日系企業の駐在員が現地で居住するのは、会社の借り上げ社宅かホテルが一般的だが、蘇州の場合、一昔前までは各部屋をノックして“営業”する女性たちがいた。最近は「ホテルのバーで駐在員に日本語で話しかける」「駐在員向けのカラオケスナックで待機する」など手法が変わりつつあるものの、目的に変わりはない。ホテルマンに賄賂を渡し、商売をやりやすくしている者も多い。

 「鶏(ジー)」と呼ばれる彼女たちは出稼ぎ組で、後ろ盾を持たない個人営業の鶏と、地元の非合法団体「地頭蛇」によって組織化された鶏がいる。いずれも背後に、男性がいる確率は極めて高い。

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このコラムについて

「これからは中国」でホントに大丈夫?

 アパレルや飲食などのサービス業を中心に、日本企業の“中国進出ラッシュ”が続いている。かつてはさまざまな高いハードルが指摘された中国進出だが、最近は「商習慣の近代化や投資環境の整備が進み、日本企業が現地で商売できる環境が急速に整ってきた」とも言われ始めた。だが、それは本当なのか。いまだ残る「中国進出の落とし穴」を探る。

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