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中国には空き家が6540万戸ある!?

事実なら、日本の総世帯数よりも多く、2億人の居住が可能

2010年9月3日(金)

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 中国で2010年3月頃から「中国には6540万戸もの“空置房(空き家)”がある」という噂が広まった。その発信源がどこかは不明だが、誰もが関心を寄せるテーマなのであちこちで話題となり、そのうちにインターネットの掲示板でその真偽を巡って論議が展開されるようになり、遂にはメディアまでもがこの噂を取り上げるようになった。

 日本の総務省統計によれば、2008年10月1日時点における日本の総住宅戸数は5759万戸(756万戸の空き家を含む)、総世帯数は4999万戸であるから、中国の空き家が6540万戸もあるということになると、それは日本の総住宅戸数と総世帯数よりも多い計算になる。日本の10倍の13億人の人口を有する中国とは言っても、空き家が6540万戸というのはいくらなんでも多すぎで、中国伝統の「白髪三千丈」の類のほら話だと思うのだが、中国のメディアまでもがこれを報じたことで、それこそまさに不動産バブルを象徴するものとして議論が議論を呼ぶ状況が出現したのである。

中国の不動産市場の根底を揺るがす事実

 さて、この噂とは具体的にどういうものか。それは次のようなものであった。

【噂その1】

 あるメディアが最近報じたところによれば、“国家電網公司”<注1>が最近全国660の都市で行った調査の結果、電気メーターが6カ月間連続してゼロを示した住宅が6540万戸に達したことが判明した。これら電力を使用していない空き家の数は2億人が居住できる規模であり、これは中国の不動産市場の根底を揺るがす事実である。

<注1>“国家電網公司”は中国最大の送電・配電会社


【噂その2】

 社会科学院都市調査チームの調査によれば、国家電網公司の“智能電表(スマートメーター)”<注2>の統計データから、全国660の都市で6540万戸の住宅が6カ月以上にわたって居住者なしの空き家になっていることが判明した。

<注2>「スマートメーター」とは、通信機能やほかの機器の管理機能を持つ高機能型の電力メーターを含んだシステムで、ネットワーク経由で電気使用量などのデータを電力会社が管理することができる。

スマートメーターはまだ一部の住宅だけ

 メディアやネットでは噂の真偽を巡って議論が戦わされたが、これを整理すると次のような否定的な意見が大勢を占めた:

【1】 国家電網公司に直接確認したところ次のような回答を得た。すなわち、国家電網公司は電気メーターが6カ月連続してゼロ表示の住宅数を示すようなデータを持っていないし、ましてやそれを公表した事実はない。また、「スマートメーターの統計データ」という表現がなされているが、スマートメーターはまだ一部の住宅にしか使用されておらず、その数はまだ数百万戸に過ぎない。従い、6540万戸ものデータを把握することは物理的に不可能。
 
【2】 “中国社会科学院”に直接電話を入れて確認した結果、「都市調査チーム」なるものは存在しないことが判明した。
 
【3】 1軒の住宅に3~4人が居住すると仮定すれば、6540万戸には2~2.6億人が居住可能ということになるので、「2億人が居住できる規模」というのは間違いない。しかし、2~2.6億人というのは、日本の総人口の2倍であり、それだけの人口を収容できる住宅が空き家として存在しているというのは荒唐無稽な話で非現実的である。
 
【4】 6540万戸の空き家の価格を1戸当たり30万元(約400万円)として計算すると、その総額は19兆6200億元(約264兆8700億円)となる。これは中国国民の全貯蓄額に相当する金額であり、中国にいくら金持ちがいると言っても、約20兆元もの価値を持つ住宅を空き家のまま放置するということは到底考えられない。
 
【5】 1戸当たりの面積を70平方メートルとすると6540万戸の総面積は約46億平方メートルとなるし、90平方メートルとすれば約59億平方メートルとなる。一方、2008年の都市住民1人当たりの平均居住面積は23平方メートルであるから、都市人口を6億人として計算すると、居住面積の総計は約138億平方メートルとなる。2010年の1人当たり平均居住面積は多少増大しているだろうが、それにしても46~59億平方メートルが空き家だとすると、総居住面積の3分の1を占めることになり不合理である。
 

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「中国には空き家が6540万戸ある!?」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長