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ダム枯渇!水危機に直面する北京

7月の最高気温43.8度は史上最高、地下水くみ上げれば地盤沈下

2010年9月10日(金)

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 2010年7月初旬、北京市では最高気温が40度を超える日が続いた。特に7月6日の気温はじりじりと上昇を続け、北京市の気象史上で7月の最高となる43.8度にまで達した。ちなみに、従来の7月の最高気温は1999年の41.9度であり、これに次ぐのが2002年の41.1度であったから、7月6日は過去の最高記録を1.9度も上回ったのであった。同日、北京市政府の労働・社会保障局は、労働者を雇用する機関に対して、高温下で働く労働者に高温作業手当を支払わねばならないこと、今年の高温作業手当は昨年に比べて基準額が倍増されたことを発表した。

北京市民の水資源は世界平均の40分の1

 7月6日は熱帯高気圧が張り出したことで、高温に加えて湿度も上昇し、水の消費量も増大した。この結果、7月6日の北京市の市街区における水の供給量は288万立方メートルに達し、過去100年の最高を記録したのである。北京市は慢性的な水不足に直面しており、2008年の北京オリンピックの際には隣接する河北省などから「貰い水」をすることで、オリンピック期間中およびその前後における水供給の安定を確保したほどだった。そのような水不足に苦悩する北京市にとって、7月6日に水供給量が過去最高を記録したことは直面する水危機の深刻さを一層鮮明なものとしたのである。

 北京市の水資源量は37億立方メートルに過ぎず、1人当たり平均の水資源量は200立方メートルにも達していない。これは中国の1人当たり平均の10分の1、世界の1人当たり平均の40分の1に過ぎない。2002年のデータでは、1人当たりの平均水資源量は、中国平均の8分の1、世界平均の30分の1であったが、8年後の現在では水資源量は減少の一路をたどっているのが実情である。国際的に認められている基準では、1人当たり平均の水資源量が1000立方メートルを下回れば重度の水不足地域に区分けされるので、北京市の200立方メートルは水不足が極めて深刻なことを意味しており、世界の大都市の中でも北京市の水不足は突出しているのである。

 もっとも、1人当たり平均の水資源量は、北京市が200立方メートルならば、天津市はその半分の100立方メートルに過ぎない。水不足は天津市の方が深刻だが、北京市は中国の首都であり、政治・行政の中心であるから、その重要度は遥かに大きい。なお、中国では、「中国660都市のうち、400都市以上が水不足の状況にあり、そのうちの110都市は深刻な水不足に直面している」と言われて久しい。しかし、この数字は少なくとも過去10年以上にわたって変化しておらず、中国の水問題では必ず引用されるにもかかわらずその信ぴょう性は乏しいように思われる。現在では「水不足の都市」も「深刻な都市」もその数はいずれも相当増大しているに違いない。

北京の水源である4つのダムは危機的な状況

 北京市の面積は1万6800平方キロメートルで、日本の岩手県(1万5279平方キロ)とほぼ同じ。ちなみに、日本の首都圏を構成する東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県の面積の合計は1万3557平方キロメートルで、北京市の面積よりも約3250平方キロメートル以上も小さい。その北京市は、西に太行山脈に属する西山、北に燕山山脈に属する軍都山、東に渤海を臨み、南に北京平原を擁している。従い、地形は西・北が高く、東・南が低く、全ての水系は西・北から東・南に向かって流れている。北京市には5つの水系(永定河水系、拒馬河水系、温楡河水系、潮白河水系、薊運河水系)があり、これらの水系を利用して85カ所の“水庫(ダム)”を持つ。これらのダムのうちで規模が大きいものは、“密雲水庫”、“官庁水庫”、“懐柔水庫”、“海子水庫”の4つである。

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「ダム枯渇!水危機に直面する北京」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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