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中国「炒車族」の知られざる生態

人気車を高値で横流し、メーカーも見て見ぬふり

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2010年9月6日(月)

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炒車生態鏈

経済観察報記者 張煦

楊帆は、自動車販売業界で20年近いキャリアを持つベテランだ。利にさとい彼は、メーカー系列の正規ディーラーを経営するよりも利益が大きく、しかも手っ取り早いビジネスを見つけた。それは“炒車(クルマの投機)*”である。

*「炒」は投機を意味する俗語。中国語では株式投機は「炒股」、マンション投機は「炒房」という具合に、ごく一般的に使われている。

 “炒車”とは、有り体に言えば「カネを払って行列に割り込む」行為のことだ。自動車販売の現場では、特定の人気車種に注文が集中し、納車まで顧客が長期間待たされることがしばしばある。一部の顧客はそれを我慢することができず、プレミアムを支払って一刻も早くクルマを手に入れようとする。しかし、系列ディーラーではメーカーの指導がやかましく、上乗せ価格と引き替えの早期納車をおおっぴらにやることはできない。

納車を待てない消費者にプレミアム

 そこで、楊帆のような怪しげなブローカーの出番だ。彼ら「炒車族」は、ディーラーとの“人脈”を駆使して供給不足の人気車種を手に入れ、プレミアムを支払った顧客に横流しする。そして、利益をディーラーと山分けするのである。楊帆は昨年、このビジネスで数百万元を荒稼ぎした。

 「よそでは手に入らないクルマも、俺なら何とかして見せる」。楊帆はそう豪語する。例えば上海フォルクスワーゲンの小型SUV「ティグアン」は、系列ディーラーでは契約から納車まで6~8カ月も待たされる。しかし楊帆に任せれば1~2カ月で手に入るという。「待ちきれない消費者は5万元(約62万円)のプレミアムも厭わない」と彼は言う。

 こんなにおいしい商売なら、ディーラーのセールスマンが自ら手を染めても不思議はない。だが、彼らが敢えてそれをしないのは、メーカーの覆面調査を恐れているからだ。楊帆によれば、東風ホンダの人気SUV「CR-V」が昨年マイナーチェンジした直後、各地のディーラーに覆面調査員が送り込まれた。調査員は顧客を装い、プレミアムを支払って実際にクルマを購入。その後、ディーラーはメーカーに動かぬ証拠を突きつけられ、厳しいペナルティを課された。

 そこで、ディーラーとセールスマンはこんな自衛策をとっている。ショールームを訪れた人物をつぶさに観察し、本物の顧客である確信が得られれば、上乗せ価格で直接販売する。しかし少しでも覆面調査の可能性があれば、迷わず「炒車族」にバトンタッチするのだ。

 「俺たちは系列ディーラーの社員じゃない。俺が顧客にいくらでクルマを譲ろうが、メーカーは口を出せない」と楊帆は言う。前出のティグアンを例に取ると、ディーラーはまず旧知の楊帆に3万元のプレミアム付きでクルマを売る。彼はそれを5万元のプレミアムで顧客に転売する。そして差額の2万元を、楊帆とディーラーの“仲間”で分け合っている。

 「炒車族」のビジネスモデルは1つではない。北京の亜運村汽車交易市場が本拠地の“趙総*”は、全国を股にかけたスケールの大きい“炒車”を生業にしている。地方によって違うクルマの販売価格に着目し、右から左に転売して利ざやを稼ぐのだ。

*「総」は社長に相当する総経理の略で、経営者の名前を呼ぶ時の一般的な呼称として使われる。“趙総”は「趙社長」という意味。

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