「日本と韓国の交差点」

ミョンジョル症候群、今年の秋夕は大丈夫かな?

民主主義が広まった儒教の国の今の姿

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2010年9月8日(水)

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 もうすぐ90歳になる祖母が「こんなに暑い夏は生まれて初めてだ」と言った。例年のソウルは湿気がなく日陰に入れば涼しかったのに、今年の夏は燃えているかのようだった。夜な夜な風を求めて集まる家族連れで、漢江沿いにある公園は大賑わい。芝生の上に蚊よけのテントを張り、ノートパソコンを持ち込んで映画を見たり、携帯電話でテレビをみたり。私もその一人だった。

 夏休みが終わり涼しい風が吹き始めると秋夕(チュソク、韓国のお盆)がやってくる。漢字にできない純粋な韓国語ではハンガウィという。収穫した新しいお米と野菜、果物などが出回る時期である。しかし今年の韓国は猛暑に次いで台風が訪れているので、野菜も果物も値段が暴騰した! ねぎ1束が8000ウォン(約600円)と、信じられない値段がついていた。

ミョンジョルが近づいてきた

 お正月とお盆は「名節(ミョンジョル)」といい、先祖たちが春夏秋冬季節ごとに楽しんだ祝日のうち最も大事な2つである。お正月とお盆の前後2日を含め3日間連休になる。韓国はまだ振り替え休日がないので、お正月やお盆が日曜だったりするとがっかりだ。落ち込まずにはいられない。以前は「国軍の日」と「ハングルの日」も公休日だったのに、「休日が多すぎる」という理由で平日になってしまった。このため、連休と言えばお正月とお盆ぐらいしかない。

 「連休だから海外旅行でも」なんていうのは独身貴族か親戚に嘘ついてこっそり抜け出した人ぐらい。教会に行くキリスト教徒のように宗教的な信念から法事をしない家庭も増えているが、それでもまだ韓国のミョンジョルは餅代としていくらかのボーナスが支給され、故郷に帰るため民族大移動が始まる時期である。ちなみに韓国では、教会に行くのは「キリスト教」。「カトリック教徒」は聖堂に通う。

 子供のころのミョンジョルは、何十人もの親戚が集まって、おいしいものを食べて、わいわい過ごした楽しい思い出しかない。だが、結婚すると風景が変わった。結婚した女性はミョンジョルの前の日から夫の家に行って茶禮(チャレ)の準備をしなくてはならない。茶禮はお正月やお盆の日の朝に行う先祖への挨拶のようなものである。

ミョンジョルの準備はたいへん

 ミョンジョルが近づくと物価が急騰するので、茶禮の準備にはお金もかかる。お正月と秋夕には子供に新しい服を買ってあげる。親戚やお世話になった人たちに手土産として健康食品や調味料セット、りんご1箱、韓菓(伝統菓子)などを送るのが習わしである。茶禮のテーブルに載せる今年収穫された新しい米も買わなくてはならない。茶禮のテーブルには、ほかにもこうしたご馳走を載せる――ナムル5種類ほど、白身魚やきのこ、かまぼこ、かぼちゃ、牛肉を四角に切って味付けしないで焼いたもの、鶏まるごと一羽、豚肉を蒸したもの、蒸したタコまるごと。

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著者プロフィール

趙 章恩(チョウ・チャンウン)

 研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。現在は東京大学社会情報学修士。ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。著書に「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)がある。
 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送っています。日韓両国で生活した経験を生かし、日韓の社会事情を比較解説する講師として、また韓国のさまざまな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです」。
 「韓国はいつも活気に溢れ、競争が激しい社会。なので変化も速く、2〜3カ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をすると『なんだかきつそうな国〜』と思われがちですが、世話好きな人が多い。電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多いのです。マンションに住んでいても、おいしいものが手に入れば『おすそ分けするのが当たり前』の人情の国です。みなさん、遊びに来てください!」。



このコラムについて

日本と韓国の交差点

 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?

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