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解決すべきは円高だけではない

日本の窮状を招いた3つの要因

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2010年9月14日(火)

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William Pesek(Bloomberg Newsコラムニスト、東京)
米国時間2010年9月2日更新「Japan Has More Than Just a Yen Crisis

 日本経済は「オオカミ少年」か――。

 景気低迷、デフレの深刻化、さらに8月下旬からの不可解な円相場の急騰を受け、日本の政策責任者らは抜本的な対策を取る意向を表明した。米カンザスシティー連邦準備銀行(カンザスシティー連銀)主催のシンポジウムに参加していた日本銀行の白川方明総裁は、緊急事態に対処するため、シンポジウム開催地の米ワイオミング州ジャクソンホールから慌ただしく帰国。投資家は日銀の積極的な為替介入を予想した。

 8月30日には、円高で輸出産業が打撃を受ける中、菅直人首相が新たな景気対策を打ち出すとの観測が浮上し、メディアは菅首相の動向に注目した。だが、ふたを開けてみると、実際には何の対策もなされなかった。

 明確な対策を求める市場の期待は裏切られ、円高が一段と進行。円相場は8月23には1ドル=85円20銭だったのが、9月1日には84円40銭まで上昇した。頑丈な小型車で一大輸出ビジネスを築いたスズキの鈴木修会長は「落ち着かない毎日を送っている」と語った。鈴木会長と同じ思いを抱く経営者は少なくないだろう。

 不安を抱いているのは日本の政治家も同様だ。政治家が円高問題に何の対策も取ってこなかったために、日本は、イソップ物語のオオカミ少年と同じ運命をたどりつつある――「円高対策を取る」と言いながら、いっこうに、なんら手を打たないために、だれも信用しなくなった。

 ドルとユーロの下落で、円は相対的に値上がりしている。円相場の安定確保がここまで難しくなったことは、過去にもほとんど例がない。円相場が15年ぶりの水準に急騰したことは、現在の日本が抱えている問題の大きさを象徴している。現在の窮状を招いている要因として、以下の3点を考慮すべきだ。

1)変革を拒み続けた代償

 1980年代のバブル経済の後、日本政府が取り組むべきだった主な課題は、金融機関の不良債権処理、規制緩和、企業を支援する税制改革、生産性の向上、起業活動の奨励だった。

 こうした構造改革を実行していれば、今日の日本経済ははるかにバランスの取れたものになっていただろう。円高の影響ははるかに小さかったはずだ。だが、実際に日本が選択したのは、巨額の財政出動や低金利政策、円安誘導といったその場しのぎの対策ばかりだった。

 日本経済が外貨を稼ぐ巨大輸出産業に依存するようになるにつれ、2000年代には為替相場がことさら注目されるようになった。日本の政策責任者らにとっては想定外のことだったのかもしれないが、貿易黒字を計上し続ける国の通貨は上昇する。特に危機的な状況で、投資家が安全な投資先を求める際には、こうした傾向が顕著になる。また、日本の官僚たちは、著しい円高になれば産業の空洞化が進むことを学んだ。日本にルーツを持つ企業であっても、日本での操業にこだわらず円高対策を講じる。例えばルノー・日産連合は最近、韓国での生産規模を拡大し、国内生産拠点への依存度を引き下げる方針を発表した。

 日本の変革のペースがあまりに緩慢なため、日本の経済的地位は低下している。8月には、中国が正式に経済規模で日本を追い抜いた。こうした変化からどのような教訓を学ぶべきなのだろうか。三菱東京UFJ銀行のストラテジスト、ナオミ・フィンク氏は「重要なのは、円高だと騒ぐことではなく、問題を解決することだ」と説く。

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