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中国から千客万来のエコシティ

ストックホルムに学ぶ“お上”の役目

2010年9月16日(木)

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 日経ビジネスの2010年9月6日号の特集「スマートシティ~40兆ドルの都市創造産業」でリポートした通り、欧州でも既存の都市を環境配慮型に転換するプロジェクトが各地で動き始めている。

 昨年12月、デンマークの首都コペンハーゲンで開かれたCOP15(第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、欧州は米国と中国に狭間で議論の主導権を握ることに失敗。欧州はこれまで、排出権取引の導入などで世界をリードしてきたが、COP15が低調に終わってからというもの、環境先進地域としての存在感は薄れてしまったかに見える。

 しかし、都市開発の視点で見れば、環境意識の高まりは比較的早く、成功も失敗も過去の教訓が蓄積されている強みはある。そんな欧州を代表する都市の1つ、スウェーデンの首都ストックホルムに今、中国をはじめとする世界各国から、大量の視察団が訪れているという。

 都市に住む人口の割合が四半世紀前には約25%だったという中国。今やその率は5割近くまで上昇し、環境負荷の少ないエコシティをいかに作るかが中国政府の悩みの種となっている。その中国にとって、都市開発の手本とする都市の1つが欧州にある。スウェーデンの首都ストックホルムだ。

 水の都ストックホルムは、市の中心部でサーモンやニシンを釣る人を見かけるほど、自然と共存している都市である。1940年代から始まった水質改善努力により、市庁舎前の湖の水はそのまま飲むこともできるほど、環境にやさしくなった。二酸化炭素(CO2)の排出量は、既に1990年比で25%以上削減しており、2015年までには同じく1990年比で45%削減することを目指している。

 北欧の暮らしに欠かせないものとなっている、住宅やオフィスなどを“都市丸ごと”温める地域暖房では、その熱の87%をバイオマス燃料など再生エネルギーで賄っている。2050年までには市全体で化石燃料の使用をゼロにする目標を掲げ、今年は欧州委員会が選ぶ欧州の環境首都第1号にも選ばれた。

エコシティ開発に有利な“お上”による土地所有

 そんなストックホルムに今、世界各地から視察団が訪れている。中でも大量に視察団を送り込んでいるのが、中国だという。あまりの視察団の多さに「エコ以外の視察は受け入れが難しいのでは」と囁かれるほど、千客万来の状況が続いているようだ。

ストックホルム市で環境関連を担当するウラ・ハミルトン副知事

 環境関連のプロジェクトを担当するストックホルムのウラ・ハミルトン副市長は、「中国からの視察団には何度も会った。彼らは、ストックホルムがどうやって都市計画を進めてきたのか、都市作りの手法を熱心に聞いていく」と話す。ハミルトン副市長は、中国語を流ちょうに話すアシスタントをそばに置いているほどだ。

 実は、中国のエコシティ関係者がストックホルムに注目するのは、両者の間に、ある共通点が存在するからである。それは、土地の大部分を“お上”が所有しているという、他の先進国ではあまり聞かない都市計画の前提条件である。

 シンガポールなどエコシティ開発で注目を浴びる一部の都市には、同じように国有地(市有地)の割合が極めて高いところもある。その例にもれず、ストックホルムでも約7割の土地を市が所有している。一昔前、社会主義的な政策を背景に、市が用地を段階的に取得してきたからだ。そのため、ストックホルムでは行政主導で大規模な都市計画を進めやすい環境が整っており、それが今になって同市をエコシティへと変貌させる1つの原動力になっている。

 既に水質やCO2の削減などで優れた環境指標を達成していることに加えて、この土地制度の共通点が、中国のエコシティ関係者のストックホルムに対する興味をかき立てるのだろう。中国も、都市の土地を国家が所有しているという強みをテコに、政府主導でエコシティを国内に展開することを目指している。そんな中国にとって、ストックホルムの事例は格好の調査対象ということのようだ。

海の玄関口を「2030年までに化石燃料ゼロ」に

 もちろん、ストックホルムが世界でもトップクラスのエコシティとして評価を受けているのは、都市開発に有利な独特の土地制度を持つからだけではない。エコシティ開発に取り組む、同市の戦略的な姿勢もある。

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「中国から千客万来のエコシティ」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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