「日本と韓国の交差点」

儒教の国・韓国で続くゴールドミスの躍進

韓国の女性はたいへんなんだけど…

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2010年9月15日(水)

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前回」から続く

 日本でも知られているように韓国は儒教の国である。儒教を韓国の国教のようにとらえる人も居るが、そうではない。儒教は生活方式や考え方、倫理、仁義禮知信に関する教えで、生活の基盤として社会全般に広がっている。家族を大事にする、友達を大事にする、お年寄りを大事にする、先生を尊敬して影さえも踏まない、年上には礼儀を守る、などが代表例。男性中心で男尊女卑の考えを含んでいる。女性は子供のころは父に従い、結婚したら夫に従い、老いてからは息子に従う、というのが昔からの教えである。

 先祖を大事にする考えから、法事も多い。法事は日本のように3回忌、7回忌ではなく、亡くなった日を陰暦カウントして毎年行う。忘れずにカレンダーに書いておかなければならない。親の世代は誕生日も陰暦で祝うので、カレンダーをもらったらまず法事の日、両親の誕生日、祖父母の誕生日を記録しておく。

 日本人はお葬式をお寺でするらしいが、韓国では法事を家で行う。儒教の教えを守って料理を準備し、しきたり通りに行う。由緒ある家柄ほど法事が多く、毎週のように何代目かの先祖の法事が回ってくる。

金さんはと金さんと同じではない

 韓国人の名字はみんな金さん、李さん、朴さんと同じように見えても、実は金海金氏、慶州金氏、豊壌趙氏、漢陽趙氏、といった具合に本貫(ボングァン)を持っている。本貫は自分の始祖は誰なのかを示すもので、初めて会った人でも本貫が同じであればご先祖さまは同じと考えられている。そのため2005年に民法が改定されるまで、本貫と名字が同じだと、他人なのに結婚できなかった。

 本貫ごとに、長男の長男のまた長男といった何百年も続く長男家系を「宗家(ジョンガ)」と呼ぶ。宗家の人たちはその家の伝統と歴史を守るのが義務というか仕事になる。最近は全国各地の宗家の法事料理がテレビで紹介されたり、本が出版されたりしているほど脚光を浴びている。「どこどこの宗家のお醤油がおいしい」、「どこどこの宗家は秘伝のレシピで作るキムチがすごい」と評判になり商品化されることもある。

長男の嫁は韓国でもたいへん!

 宗家の嫁である宗婦(ジョンブ)は、家を守って次の代にバトンタッチする重い責任を果たさなければならない。このため、結婚する男性が宗家だったりすると新婦の家が猛反対することも珍しくない。

 宗婦には、「男の子を生まなければならない」という暗黙の圧力も続いている。宗家を途絶えさせてはならないからだ。男の子が生まれるまで子供を生み続けるため、1男7女、1男8女なんていう家も珍しくない。70年代には「息子と娘を区別せず、2人だけ生んで育てよう」、80年代には「よく育った1人娘。息子10人もうらやましくない」という政府の標語まであったほどだ。

 90年代になっても、こうした風潮は続いている。成功できるよう家族全員が一人息子に尽くす家庭で、親にも差別され苦労ばかりする娘たちが、めげることなく自分の道を探す、というテレビドラマが放映された。「まるで私の話しだわ〜」と年配の主婦に支持され高視聴率を獲得した。

 少子化によって、韓国の家族はますます男児を望むようになった。産み分けに取り組む夫婦も珍しくない。このため韓国では、胎児の性別を両親に教えることが禁止されている。男児を望む傾向はさらにエスカレートし、「遠征出産」が問題になったこともある。男の子を身ごもったら、韓国男性の義務である徴兵を逃れるため、アメリカで産みアメリカ国籍を取得させてあげよう、という取り組みだ。

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著者プロフィール

趙 章恩(チョウ・チャンウン)

 研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。現在は東京大学社会情報学修士。ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。著書に「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)がある。
 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送っています。日韓両国で生活した経験を生かし、日韓の社会事情を比較解説する講師として、また韓国のさまざまな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです」。
 「韓国はいつも活気に溢れ、競争が激しい社会。なので変化も速く、2〜3カ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をすると『なんだかきつそうな国〜』と思われがちですが、世話好きな人が多い。電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多いのです。マンションに住んでいても、おいしいものが手に入れば『おすそ分けするのが当たり前』の人情の国です。みなさん、遊びに来てください!」。



このコラムについて

日本と韓国の交差点

 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?

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