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中国インスタントラーメン攻防記

消費総量の45%を占める地で台湾の2大ブランドが激突

2010年10月8日(金)

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 今や世界中に普及しているインスタントラーメン。そのインスタントラーメンを開発して初めて商品化したのは日清食品の創業者、安藤百福氏である。1910年に日本統治下の台湾で台南州東石郡樸仔脚に台湾人“呉百福”として生を受けた安藤百福氏(戦後日本に帰化して改姓)は2007年に97歳で亡くなったので、2010年の今年は安藤百福氏の生誕100周年に当たる。

小学校3年生、チキンラーメンとの出会い

 世界初のインスタントラーメン、日清食品の「チキンラーメン」が発売されたのは1958(昭和33)年8月25日のことだった。当時の資料によれば、「チキンラーメン」の販売価格は1袋35円であったが、中華そば屋のラーメンが1杯40円程度であり、うどん1玉が6円であったので、決して安いものではなかった。

 1958年8月当時、小学3年生であった筆者は、チキンラーメンが市場に出回るようになった翌年の1959年頃に念願のチキンラーメンを味わうことができたことをいまだに覚えている。袋から取り出したチキンラーメンを丼(どんぶり)に入れ、お湯をかけてふたをして待つこと3分間。出来上がったチキンラーメンは何やら新時代の食べ物を食べたという印象が忘れがたい記憶として残っている。

 今から52年前に安藤百福氏によって開発されたインスタントラーメンは、今や世界中に普及し、人々にとってなくてはならない食品の1つとなっている。世界ラーメン協会の統計によれば、世界のインスタントラーメン消費総量は2007年の946.9億食が過去最大であったが、2008年には913.9億食と減少し、2009年は915.4億食と横ばいの状況にある。しかし、これは2009年の世界の総人口を68億人とすると、年間に1人が約13.5食を消費した計算になり、すごい数字と言わねばならない。

 一方、2009年の消費量を国別で見ると、第1位は中国・香港の408.6億食で世界の約45%を占めている。第2位はインドネシアの139.3億食であるから、中国・香港の消費量は飛び抜けている。インスタントラーメンの本家である日本は53.4億食で第3位であり、次いで第4位ベトナム、第5位米国、第6位韓国と続く。ところが、年間1人当たりの消費量では、第1位が韓国の72食、第2位がインドネシアの60.6食、第3位がベトナムの48.8食、第4位がマレーシアの43.7食、日本は第5位にようやく登場して42食である。国別消費量ではトップの中国・香港は、第6位台湾の35.7食、第7位タイの34.7食に続く第8位で30.2食となっている。

台湾の“意麺”がルーツ?

 安藤百福氏は「瞬間湯熱乾燥法」というインスタントラーメンの基礎技術を開発したことでチキンラーメンの製造に成功した。この技術、麺を高温の油で揚げて水分を飛ばすと、麺に無数の穴が残り、この麺にお湯を注ぐと穴から水分が吸収されて麺が元の状態に戻るという原理に基づくものであった。この技術は中国・清の乾隆帝時代に進士となった伊秉綬(1754~1815年)の屋敷(中国語で“府”)の厨房で開発されたことから“伊府麺”(略称:“伊麺”)と呼ばれる麺の製造方法と類似している。中国語の説明によれば、“伊府麺”とは「油で揚げた“鶏蛋麺(鶏卵麺)”」とあり、麺を打つには小麦粉に水を加えるのが普通だが、“伊府麺”の場合は水の代わりに鶏卵を小麦粉に加える。麺が打ち上がったら茹でて、茹で上がった麺を冷水で冷やし、さらに火であぶって乾燥させてから油で揚げる。

 こうして完成した“伊府麺”は保存が可能で、お湯で戻せばいつでも食べることが可能な便利な麺であった。インスタントラーメンを中国語では“方便麺”と呼ぶが、“方便”は日本語の「便利」を意味する。なお、台湾では“伊府麺”を“意麺”と呼ぶが、安藤百福氏が生まれた樸仔脚(現・嘉義県朴子市)は台湾の“意麺”の発祥地と呼ばれる台南県塩水鎮に近い距離にある。幼少時に父母に死に別れた“呉百福”は祖父母に引き取られて台南市で育ったとのことだが、台南の“意麺”は有名であり、彼のインスタントラーメン開発には、台湾の“意麺”が何らかのヒントを与えたことが想像できる。

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「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「中国インスタントラーメン攻防記」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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