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中国人はどうしてノーベル賞を取れないのか

“華人”なら科学技術分野の受賞者が9人もいるのに

2010年10月15日(金)

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 2010年10月8日、ノルウェーのノーベル賞委員会は2010年のノーベル平和賞を中国の民主活動家である劉暁波(54)に授与すると発表した。劉暁波は、中国の民主化や人権保護の改善を訴える意見書「零八憲章(08憲章)」を起草したとして2008年12月10日に身柄を拘束された。劉暁波は拘留から1年後の2009年12月11日に起訴され、2009年12月25日に北京中級第一法院で「国家政権転覆扇動罪」により懲役11年、政治的権利剥奪2年の判決を受けた。判決を不服とする劉暁波は控訴したが、2010年2月11日に北京市高級人民法院が控訴を棄却したことで原判決が確定し、劉暁波は現在に至るまで遼寧省錦州市の監獄に収監されている。

口コミでノーベル賞受賞のニュースは全土に伝播

 重大犯罪の囚人である劉暁波が2010年ノーベル平和賞の有力候補者に名を連ねたことを知った中国政府は、これを阻止すべくノルウェー政府ならびにノーベル委員会に外交圧力をかけた。しかし、結果は劉暁波の受賞が確定し、中国政府は国家としての対外的な面子を失うと同時に国内対策に追われることとなった。

 中国国内では劉暁波のノーベル平和賞受賞に関する報道は禁止されたし、これに関連するネット掲示板への書き込みも厳しく監視された。中国政府がどんなに情報を制限したとしても、中国伝統の“小道消息(口コミ)”により劉暁波のノーベル平和賞受賞のニュースは瞬く間に全土に伝播する。1989年6月に天安門事件が発生したことを理由に、同年のノーベル平和賞はダライラマ14世に授与されたが、当時世界から孤立状態にあった中国政府は情報管制を強化して関連ニュースの国内伝播を食い止めようとした。しかし、インターネットも携帯電話も普及していない当時であっても、ダライラマ受賞のニュースは“小道消息”を通じて全土に流布したのであった。

 中国政府は国民が劉暁波のノーベル平和賞受賞を“小道消息”を通じて知ることは百も承知だが、あくまで建前上はこの件に関する言及を禁じているのである。従って、10月8日以降、中国国内ではノーベル平和賞のみならずノーベル賞そのものに関する話題はタブーとなっているので、筆者もあえて政治的色彩の濃いノーベル平和賞には言及せず、学術的な業績により受賞者の選考が行われる、スウェーデン王立科学アカデミー所管のほかのノーベル賞に的を絞って本稿を進めることとする。

情けない状況、全国国民に謝罪しろ

 さて、10月6日、スウェーデン王立科学アカデミーは2010年のノーベル化学賞を、リチャード・ヘック・米デラウェア大名誉教授(79)、根岸栄一・米パデュー大特別教授(75)、鈴木章・北海道大学名誉教授(80)の3人に授与すると発表した。今年の根岸、鈴木の受賞は、2008年の下村脩(化学賞)、小林誠ならびに益川敏英(物理学賞)に続く日本人によるノーベル賞受賞であり、これで日本人のノーベル賞受賞者は累計17人<注>となり、化学賞は累計7人となった。

<注>2008年に物理学賞を受賞した南部陽一郎は、ノーベル賞として評価された研究は日本国籍時代のものだが、1970年に49歳で米国籍取得しているので受賞者の累計には含めていない。

 一方、今年のノーベル化学賞が2人の日本人に授与されることをニュースで知って悔しがったのは中国国民だった。折しも、尖閣諸島の領有権を巡る日中両国間の緊張が高まり、中国国民に反日のナショナリズムが高揚している時期でもあり、“小日本(日本に対する蔑称)”の“日本鬼子(日本人に対する蔑称)”がノーベル賞を受賞するというのに、中国人のノーベル賞受賞者がいないとは何ごとだという思いが募ったのである。このため中国のネット掲示板には、全国のネットユーザーたちから「国家成立から61年目の中国にノーベル賞の受賞者がいないとはどういうことだ。この情けない状況について、関係当局は全国国民に謝罪しろ」といった趣旨の書き込みが殺到したのである。

 関係当局に謝罪を要求する理由をネットユーザーたちは次のように述べている:

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「中国人はどうしてノーベル賞を取れないのか」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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