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“風水”を遮るマンションの建設は停止せよ

権力に溺れ「中国一の愚か者」になった党委員会書記

2010年10月22日(金)

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 2010年10月12日、重慶市の江津区人民政府は記者会見を行い、10月8日付で“財新網(財新ネット)”が報じた「“風水(地相判断の占い)”が引き起こした禍? 重慶の不動産開発業者と役人の闘争実録」という記事は甚だしく事実と異なる旨の声明を発表して釈明を行った。

建築品質に隠れた危険性が判明したとして…

 当該記事が報じたのは、重慶市の不動産開発業者“坤泰房地産有限公司(“房地産”=不動産)”<以下「坤泰」>と江津区人民政府<以下「区政府」>間の紛争で、坤泰が進めるマンション“水映康城”の3号棟の建設工事が区政府によって停止命令を受けたことに関わるものであった。この紛争の内容を簡潔に取りまとめると次のようになる:

【1】坤泰は2006年4月に長江(=揚子江)河岸で“濱江大道”に面した、眺望良好な土地の使用権を取得し、3棟のマンションからなる“水映康城”の建設を計画した。マンション3棟は高さ108メートルの33階建てで、総建築面積は約9.9万平方メートル。規模最大の3号棟は建築面積約2.9万平方メートル、さらに地下1~2階には500台を収容する駐車場が設置されるというものであった。“水映康城”は2007年7月に区政府から建設許可を取得し、9月に建設工事を開始した。2008年末には1号棟および2号棟の建設が完了。3号棟の建設が進行中である。

【2】区政府は2006年7月に“四大班子(共産党委員会、人民政府、人民代表大会、政治協商会議を指す)”の移転を決定。これと並行して、区政府は江津区の活性化を図るために“江津区人民広場商業中心(“中心”=センター)”<以下「センター」>の建設を計画していた。最終的には、センターの建設地は建設中の“水映康城”の後方とすること、“四大班子”の移転先もセンター内とすることが決定された。

【3】センターの設計は設計コンペを経て2010年7月に香港の設計会社の設計案が選定されたが、その直後の8月2日に区政府は検査により建築品質に隠れた危険性が判明したとして“水映康城”3号棟の工事停止を命じ、9月8日には工事停止命令が正式書面で通知された。

【4】区政府の声明によれば、3号棟工事停止の理由は“風水”に差し障りがあるからであるというメディアの報道は間違っており、正しくは景観上の問題に起因するというものであった。

将来を嘱望される中国共産党のエリート

 この突然の工事停止命令を受けて驚いたのは坤泰側である。坤泰の責任者である王志勇と李好学の2人は、速やかに江津区の最高指導者である共産党委員会書記の王銀峰に直談判すべく面談を申し入れることとし、何度も電話とメールを入れ続けた結果、ようやく8月5日に王銀峰書記との面談が実現したのである。ところで、本稿の主題となる面談の状況を述べる前に、王銀峰とはいかなる人物なのか、その履歴を見てみよう。

 王銀峰は河南省出身で1962年生まれの48歳。1983年に陝西師範大学地理学部を卒業した後、河南省科学院地理研究所に勤務。1986~1989年、北京大学の「都市・環境科学部」修士課程に在籍し修士を取得。1989~1993年、河南省科学院地理研究所副研究員。1993~2000年、鄭州市政府に勤務し、党委員会政策研究室主任まで昇進。ただし、1996~1999年に職場を離れて北京大学「都市・環境科学部」で博士課程に在籍。1996年、共産党に入党。2000~2005年、重慶市九龍坡区副区長。2006年、重慶市政府副秘書長。2006~2008年、重慶市江津区党委員会副書記、江津区人民政府区長。2008年から江津区党委員会書記、重慶市党代表大会代表。

 履歴の詳細を述べたが、要するに王銀峰は北京大学の博士課程に在籍した学歴を持つ、将来を嘱望される中国共産党のエリートなのである。

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「“風水”を遮るマンションの建設は停止せよ」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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