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「スマートフォン化する自動車」の逆転世界へようこそ

携帯電話の展示会に出展したフォードの真意

2010年10月29日(金)

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 2010年10月6~8日、米携帯電話業界の展示会「CTIA-IT」がサンフランシスコで開催された。私は過去12年の間、年2回開かれる同展示会は皆勤賞だが、今回は見慣れないモノが2・3階ロビーに並んでいた。天井まで届く黄緑色のAndroidの巨大なハリボテ、ではない。そんなものはここでは珍しくもない。

米携帯電話業界の展示会「CTIA-IT」に出展されたフォードの「フォーカス」(写真:海部 美知、以下同)

 そうではなくて、赤、黄、黒など色とりどりの米フォード・モーターの新車が展示されていたのだ。会場の中央に最大のスペースを取って数台の車を並べ、最終日の基調講演でも同社の幹部がフィーチャーされていた。CTIA-ITではいずれも初めてのことだ。

 私は「おお、ここでもか」とは思ったが、意外ではなかった。フォードが私のレーダー上に出現したのはちょうど1年ほど前のこと。昨年秋、愛聴するテック系ポッドキャストの広告に登場したのだが、「超ギーク(技術オタク)しか聴かないこの番組になぜこんなメジャースポンサーが?」と不思議に思った。

 そのすぐ後、今年1月にラスベガスで開かれた家電展示会「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」でも、フォードは話題をさらった。

 斬新なダッシュボードのインターフェースを搭載し、音声でツイートでき、アプリケーション・プログラム・インターフェース(API)上で外部アプリを作れるプラットフォーム「SYNC+MyFordTouch」が注目を集めたのだ(その状況は、日経コミュニケーション誌での私のコラム「スマートフォン化する自動車」を参照していただきたい)。

 ここしばらく、フォードがテック・ギークの世界に積極的に働きかけていることは、業界では既に旧知の事実なのである。

優先順位が逆転した世界

 フォードをはじめとする米国の自動車メーカーのみならず、日欧のメーカーも、以前からCESなどのテック系展示会に出展している。米ゼネラル・モーターズ(GM)の「On-Star」というテレマティクスサービス(自動車向けの情報提供サービス)は、もはや老舗である。

 フォードについても、米マイクロソフトの車内ITサービス「SYNC」を提供し始めたのは2007年のことだ。今さら何が珍しいのか、と思われるかもしれない。

 だが、これまでとは大きな違いがある。それは、何が中心的な価値で、何がオマケか、という優先順位である。

 従来の消費者向けテレマティクスでは「自動車にどんなオマケをつけるか」であったのに対し、この世界では若者のライフスタイルである「携帯・ネット」が中心で、自動車は「数ある端末の一つ」となる、という地位の逆転現象が起こっているのだ。

誠実な調子で聴衆に協力を呼びかけるデリク・キューザック氏

 フォードの世界製品開発グループVP、デリク・キューザック氏はCTIA-ITでの基調講演において、「Car as a wireless device」という言葉で端的に「自動車のスマートフォン化」を表現してみせた。

 もちろん、自動車の基本的な価値は、今でも交通手段としての使い勝手だろう。しかしクルマ社会の米国では、一日のうち数時間を否が応でも自動車の中で過ごさざるを得ない人が多い。その時間をいかに快適に過ごせるかという車内での「ライフスタイル」は、ユーザーが自動車を選ぶうえでは重要なファクターである。

 そして、スマートフォン化とは、「車の上にネットが乗る」のではなく、「携帯のサービスの端っこに車がつながる」ことにより、ライフスタイル上での「携帯・ネット」と「運転」の順位が逆転した世界、ということになる。

コメント2件コメント/レビュー

日本では若者の車離れが進み車の将来は見通し難い。フォードが挑戦している車の端末化は依然として車社会であり続けるアメリカの動向でありトレンドになる気配を感じる。日本では5,6年前に高機能カーナビにパソコンを接続するギークもいたがトレンドにはならなかった。やはりスマートホンが少ない投資で大きな便益を可能にしたことで端末の有用性が一挙に高まったのだ。車の端末化は情報の音声化と双方向性とを実現することが条件となるだろう。(2010/10/29)

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「「スマートフォン化する自動車」の逆転世界へようこそ」の著者

海部 美知

海部 美知(かいふ・みち)

エノテック・コンサルティングCEO

ホンダ、NTT、米ベンチャー企業を経て、1998年にエノテック・コンサルティングを設立。米国と日本の通信・IT(情報技術)・新技術に関する調査・戦略提案・提携斡旋などを手がける。シリコンバレー在住。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本では若者の車離れが進み車の将来は見通し難い。フォードが挑戦している車の端末化は依然として車社会であり続けるアメリカの動向でありトレンドになる気配を感じる。日本では5,6年前に高機能カーナビにパソコンを接続するギークもいたがトレンドにはならなかった。やはりスマートホンが少ない投資で大きな便益を可能にしたことで端末の有用性が一挙に高まったのだ。車の端末化は情報の音声化と双方向性とを実現することが条件となるだろう。(2010/10/29)

フォードのサブコンパクトカー、フィエスタは日本のトヨタカローラやホンダシビックに対抗するために作られたのですが、若い人に人気があって、価格帯もベーシックの$14,000ドルのものではなく、$18,000ドルぐらいのものが売れているようです。若い人は、フィエスタをカローラではなくミニクーパやワーゲンゴルフのように見ているようです。アンドロイド搭載の件は昨年は大した話題でもなかったのですが、ジェネレーションX世代向けのマーケティングが成功しつつあるのかもしれませんね。(2010/10/29)

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