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ドラ息子、人を轢いて一言「俺の親父は李剛だ、文句あるか」

大学構内で発生した酒酔い運転による死傷事故の顛末

2010年11月5日(金)

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 その交通事故は2010年10月16日の21時40分頃、河北省保定市北市区にある河北大学“工商学院(工商学部に相当)”の学生生活区内で起こった。南門から学生区に乗り入れた1台の乗用車が暴走して2人の女子学生を跳ね飛ばした後、速度を緩めることもなく猛スピードで走り去った。しばらくして姿を現した乗用車は何事もなかったかのごとく事故現場を通り過ぎて南門に向ったが、南門が閉鎖されたために停止を余儀なくされ、学生たちに取り囲まれた。しぶしぶ車中から出てきた若い男は酒に酔っていて、横柄な態度で学生たちを睨みつけると、「お前ら関係ないだろう。見ろ、俺の車が傷ついたじゃないか。“我爸是李剛(俺の親父は李剛だ)”」と怒鳴ったのだった。

 “李剛”とは何者なのか。“李剛”は保定市公安局北市区分局の副局長であり、河北大学が所属する北市区を管轄する公安警察のナンバー2で、年齢は40歳代。加害者は李剛の息子の李啓銘(別名:李一帆)で22歳、“河北傳媒学院(河北メディア学院)”の放送司会学科を2010年6月に卒業した後、“保定電視台(保定テレビ)”で働き始めたばかり<注1>。とにかく、地域を管轄する公安警察のナンバー2の息子が酒酔い運転で暴走して女子大学生2人を轢き逃げした挙句に捕まったが、悪びれもせずに、「俺の親父は李剛だ」と怒鳴ったのである。その心は、「李剛と言えば地元の北市区では知らぬ者無き公安警察の実力者であり、俺は畏れ多くもその息子だ、何か文句あるか。俺に楯つくと後でどうなっても知らないぞ」というものだったと思われる。

<注1>本事件を報じる中国メディアは李啓銘の勤務先を“某単位(ある企業)”と報じたのみだが、ネットユーザーからの書き込みで、“某単位”は保定テレビであることが判明した。

女子学生は重傷で頭部から流血していた

 中国のメディアは10月17日から連日のようにこの交通事故を「俺の親父は李剛だ」という見出しで報じており、“我爸是李剛”という言葉は今や知らぬ人のいないほどの流行語となっているのである。この交通事故の経緯を時系列的に振り返って見ると次の通り:

【1】21時35分頃、1台の黒い乗用車が南門から学生生活区に乗り入れた。ちょうどこの時間帯は授業や自習を終えた学生たちが西側に隣接する教学区から戻って来ていて、生活区は多数の学生で賑わっていた。乗用車は南門から50メートルほどの距離にある女子学生寮で止まり、1人の女子学生を降ろした。

【2】それから3~4分後に乗用車は南門から離れる方向に猛スピードで走り始めたが、方向が定まらぬジグザグ状態で暴走し、歩行者は危うく難を逃れるという状態だった。

【3】21時40分頃、乗用車は突然にUターンして、もと来た道を南門に向って暴走を始めた。ちょうどこの時、前方の道路の真ん中に女子学生が2人いて、1人はローラーブレイドを履き、もう1人はピンク色のキャンバスシューズを履いて、ローラーブレイドの練習をしていた。乗用車は彼ら2人を避けようとしたのか、突然にハンドルを左に切ったが間に合わず、車両の右側部分で2人に衝突した。跳ね飛ばされたローラーブレイドを履いた女子学生は助手席側のフロントガラスに落下した上で地面に転げ落ちたし、もう1人は右サイドミラーに当たって地面に押し倒された。2人の女子学生は折り重なるように地面に倒れたが、跳ね飛ばされた女子学生は重傷で、頭部から流血していた。

【4】2人を撥(はね)た乗用車は停車するどころか、逆に加速して右折し姿を消したが、2~3分後に事故前に走った道路に姿を現し、事故現場を通り過ぎて南門に向った。この頃には事故を聞きつけた学生が事故現場に多数集まっていたが、フロントガラスが壊れた乗用車を見て、武術クラブのメンバーを先頭に車を追いかけた。

【5】この時、既に事故を知った学生たちが守衛に南門を閉鎖させていたため、南門で停車を余儀なくされた乗用車は学生たちに取り囲まれた。守衛が乗用車を運転していた若い男に車検証と運転免許証を提出するよう求めると、酒臭い息を吐きながら何もなかったかのように車から降りた若い男は尊大な態度で守衛に相対した。これを見た学生が「人を撥ねておいてどうしてこんなに落ち着いていられるんだ」と叫ぶと、若い男は「お前ら関係ないだろう。見ろ、俺の車が傷ついたじゃないか。“我爸是李剛(俺の親父は李剛だ)”」と怒鳴った。

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「ドラ息子、人を轢いて一言「俺の親父は李剛だ、文句あるか」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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