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サンデル教授の「正義」論が世界中で受けている理由

自分の報酬を30分割すれば29人の職を維持することができるとしたら?

  • フィリップ・デルヴス・ブロートン,関谷 英里子

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2010年11月15日(月)

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 わずか数カ月で総理大臣が変わってしまう日本の政治家の滑稽なほどの無能ぶりは、政治的な問題とも、倫理的な問題とも捉えることができそうだ。

 政治的な問題は、極めて予測しやすい。不適任で、嫉妬も欲も深い政治家たちに、その地位にふさわしい振る舞いを期待することなどできない。倫理的な問題は、さらに受け入れがたいものである。彼らの果てなき権力争いは、国と国民に対する裏切りでもある。彼らの振る舞いは、単なる“好き放題やっている”だけにとどまらない。個人的な野望のために政府、ひいては数百万人の命を人質に取るような振る舞いは、倫理的な過ちである。

 同様に、最近の世界的な金融危機も二通りの受け止め方ができる。一つには、1世紀に1度の金融界の嵐、ブラック・スワン、 確率曲線上の極めて0に近い部分であり、銀行家と同様、どこかの機関や特定の誰かが責任を問われるようなものではないと理解することもできる。

 しかし、一方で何年にも及ぶ倫理的に堕落した行動の結末と解釈することもできる。政治家が金融機関に自由裁量権を与えた結果、長期間にわたって金融機関は融資すべきではない相手に金を貸し、ついに崩落の時を迎えて数百万人もの罪のない人々に累を及ぼすに至ったのである。

 世界中で、人々は政府の道徳的中立性に辟易しているように思われる。その結果、もたらされた世界はどのようなものだっただろうか。私たちは、知性を駆使すれば現代の問題の多くを解決できると約束する政府と金融界のシステムエンジニアたちを信用した。マーケットは均等な機会を提供するはずだった。政治家がすべきことは、手を出さないことだけだった。

人間であることの意味を問うサンデル教授

 ハーバード大学教授で、世界的ベストセラー『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』の著者でもあるマイケル・サンデル氏は、今こそ倫理に基づいた自我に再び立ち返る時であると論じている。指導者にしろ私たちのような一般人にしろ、「良い生活」ないし「正しい生活」についての議論は結論が出ていると思いこんではいけない。これだけたくさんの人々が、他者や自分自身の行いによって苦しみ続けているのだから。

 2009年、サンデル教授は英国で著名な知識人だけが立てる最高の講壇であり、最も権威あるBBC のリース記念講義に招聘された。米国では、彼の著書は飛ぶように売れ、新聞コラムは熱心に読まれ、彼の「正義」についての講義は、ハーバードの学部生の間で最も人気の高いクラスとなっている。日本におけるサンデル人気は、彼の提示する疑問が、彼の文化背景に固有のものではないことを示している。その疑問とは、人間であることの意味を問うものである。

 スターバックスで頼むコーヒー、携帯電話の料金プラン、あるいは投資先を選ぶ時とは違う、自身の意思決定の根底を考えさせられる。サンデルは、我々に、従順な消費者のままでいいのか、数年に1回しか政治に参加しないだけでいいのかと問い掛け、そんな状態に貶めている力に抗い、疑問を投げかけるかどうかは、自分自身にかかっているのだと言う。

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