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【続報】「俺の親父は李剛だ、文句あるか」

謝罪、口封じ、解剖、弁護士解任、示談というお決まりのパターンへ

2010年11月19日(金)

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(『ドラ息子、人を轢いて一言「俺の親父は李剛だ、文句あるか」』から読む)

 10月16日の夜、酒に酔って乗用車を運転した李啓銘は、河北大学構内の学生生活区に乗り入れて、制限速度が時速5キロの道路を高速で暴走した挙句に女子大生2人をはね飛ばして死傷させた。そのまま走り去った李啓銘は学生生活区からの脱出を試みたが、門が閉ざされたために停車を余儀なくされ、多数の学生たちに取り囲まれた。守衛に促されて渋々車から降りた李啓銘は、横柄な態度で学生たちに向って“我爸是李剛(俺の親父は李剛だ)”と叫び、「何か文句あるか」と言わんばかりに辺りを睥睨(へいげい)した。加害者の李啓銘が悪びれもせずに、地元の顔役である父親の李剛(河北省保定市公安局北市区分局副局長)の権威を笠に着て思わず口にした一言“我爸是李剛”は、当該交通事故のニュースを通じて中国全土に報じられ、風刺を込めた流行語となって広く知れ渡ることとなった。

11月、事件は大きく展開

 中国のメディアはこの“官二代(役人の2代目)”による死傷事故に注目し、この事件を父親の名に因(ちな)んで“李剛門(李剛スキャンダル)”と名付けた。事故発生から10月末までの一連の経緯についは、11月5日付の本リポート『ドラ息子、人を轢いて一言「俺の親父は李剛だ、文句あるか」』で詳述したが、11月に入ると事故を巡る様相は大きな変化を見せたのだった。

 事故発生の翌日、10月17日の17時20分に被害者の陳暁鳳が頭蓋脳損傷で死亡した。この死亡が確認された後、メディアの取材に応じた保定市公安局のスポークマンは、「法律の前で人は平等であり、それが誰であろうとも、法律に抵触すれば、法に従って厳格に処罰を与える」と言明した。また、陳暁鳳の死去にともない、保定市公安局は当該事故に関する下記書類を作成した:

【1】「法医学遺体検査分析意見書」(10月18日付、保定市公安局発行):

遺体には後頭部に裂傷、その周囲に打撲傷および皮下血腫があり、鼻腔および左外耳道に血液の付着が見られ、死因は交通事故による頭蓋脳損傷と考えられる。

【2】「痕跡検査報告書」(10月18日付、保定市公安局発行):

車のトランクカバーに55mm×40mmの凹み、右後輪のパンク、フロントガラスに138mm×85mmの亀裂(略)などが認められる。

【3】「速度鑑定書」(10月19日付、保定市公安局交通警察支隊二大隊事故処理中隊発行):

ナンバープレート『冀FWE420』の車両は逃亡して事故現場に存在せず、ブレーキ痕もないので、車速を推計することはできない。

【4】「道路交通事故車両技術検査報告」(10月19日付、保定市公安局発行):

加害車両の型式は“邁騰轎車(フォルクスワーゲンの乗用車Magoton)”、エンジン番号は122100であり、安全技術基準に合致しているという結論を得た。

【5】道路交通事故認定書<10月21日付、保定市公安局交通警察支隊二大隊発行>:

事故の全責任は加害者の李啓銘が負うべきであり、被害者の陳暁鳳および張晶晶には責任は無い。

大学当局は学生たちに箝口令を敷いた

 さて、事故発生から数日が経過した時点で、河北大学当局は学生たちに当該事故に関する箝口令(かんこうれい)を敷き、メディアへの情報提供やネット掲示板への書き込みを禁じた。この結果として困難に直面したのは、死亡した陳暁鳳の家族の弁護を引き受けた北京市の“億嘉律師事務所(“律師”=弁護士)”所属の弁護士の張凱であった。キリスト教徒で、中国では数少ない人権派弁護士である張凱は、事故発生の翌日の10月18日に、自ら申し出て、いかなることがあっても中途で絶対に妥協しないことを条件に、陳家と無報酬の弁護士委任契約を締結していた。

 権力者の家族が加害者である場合にはとかく不公正な判決が下されるという経験則に基づいて、張凱は裁判を陳家に少しでも有利に運ぶべく、事故を目撃した河北大学の学生たちに証言の協力を要請した。協力要請は、当初は目撃した事実をメディアに告げたり、ネット掲示板に書き込んだ学生たちに対する電話やメール、さらには張り紙による呼びかけを通じて再三再四にわたって行われたが、大学側の処罰を恐れる学生たちは誰一人として応じる者はいなかった。そうこうするうちに11月1日となり、事態は大きな転換を見せることとなったのであった。

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「【続報】「俺の親父は李剛だ、文句あるか」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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