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苦悩する日中首脳会談

中国は何を恐れていたのか

2010年11月18日(木)

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 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が11月13日、14日と横浜で開かれた。日本側が熱望した日中首脳会談は13日午後5時20分にようやく実現し、約22分にわたり話し合いが持たれた。菅政権外交政策の迷走ぶりもさることながら、日本人の誰もが複雑な思いで見ていたのは、絶対に笑顔を見せなかった胡錦濤国家主席のあのこわばった表情だったにちがいない。

 それはあたかも、「本当は会談など行ないたくなかったのだが、ここまで要望されながらホスト国首脳との会談を拒否したら、さすがに国際舞台におけるイメージダウンにつながるにちがいない」と考えやむなく応じた、ということを語っているように感ぜられた。

 では中国はなぜそこまで嫌がっていたのだろうか。
 いや、何を恐れていたのだろうか。

 まずは10月末のハノイ首脳会談ドタキャンから、詳細に見てみよう。

ハノイ日中首脳会談ドタキャンの裏には何があったのか

 10月28日からベトナムのハノイで開催されていた第17回ASEAN(東南アジア諸国連合会)首脳会議において、29日午後8時半から菅直人首相と温家宝首相との日中首脳会談が予定されていた。しかし「その直前になって中国側が会談を突如拒否してきた」というニュースに、日本は騒然となる。それも束の間、今度は一転して温家宝首相の方から歩み寄り、ほんの10分間ながら、非公式に菅首相と「言葉」を交わした。これは「ドタキャン」という言葉とともに、日本中をアッと言わせた。

 突然の拒否と歩み寄り。
 その裏では、いったい何が起きていたのだろうか。

 フランスAFP通信の誤報があったためだと言われている。その誤報がなぜここまで深刻な事態を招いたのか。中国の舞台裏にメスを入れてみよう。

中国外交部が発表したドタキャンの2つの理由

 中国外交部(日本の外務省相当)は、「日本側が首脳会談の雰囲気を壊した。責任は日本側が完全に負うべきだ」とした。その理由として以下の2つを挙げている。

1.ASEAN首脳会議が始まる直前、日本の外交当局の責任者は、別の国と結託して再び釣魚島(尖閣諸島)問題をたきつけた。
2.ASEAN首脳会議の最中にも、日本はメディアを通して中国の主権と領土保全を侵害する言論を流した。特に、(29日午前中に開かれた)日中外相会談で話し合われた内容に関して、日本側は事実と異なる内容を発表し、両国が東シナ海に関して原則的に共有している認識を実行する際の中国の立場を歪曲した。

 このうち1は、10月27日に前原誠司外相とヒラリー・クリントン国務長官がハワイで行なった日米外相会談において、クリントンが尖閣諸島を「日米安保条約の適用対象」と明言したことを指しているとみられる。

 しかし、もしクリントンの発言がドタキャンの理由だったとすると、中国の対応は矛盾していることになる。このクリントン発言を知った後の29日に、日中両国はハノイで外相会談を開いている。しかもその会談において、中国の楊潔チ(竹かんむりに虎)外交部長(外相)がにこやかな表情で前原外相と握手している。この説明がつかなくなる。

 しかも日本との首脳会談はドタキャンしておきながら、その一方で翌30日の夜には、発言した本人であるクリントン国務長官とは戴秉国・国務院常務委員(外交担当、副首相クラス)が海南島で会っている。おまけに「新華通信社」の電子版である「新華網」(網はネット)は、クリントンと戴秉国の晴れやかなツーショットを大きく配信し、友好を深めている様子が中国のネット空間を熱く彩ったほどだ。これともつじつまが合わない。

AFPの記事は誤報だった

 そこで、考えられる真の理由は、2にある東シナ海に関する中国の立場を歪曲して報道した、ということになろう。

 ではAFP通信は、何をどのように報道したのか。

 事実は、日中外相会談で前原外相が「中国側が一方的に延期している東シナ海ガス田開発の条約締結交渉再開を要請し」た。それに対して中国の楊潔チ外相が「必要な環境を整えていきたい」と答えたにすぎない。

 しかしAFP通信はこれを、「東シナ海のガス田開発の条約締結交渉再開に関して(日中)両国が合意したと前原外相が語った」と報道したのだ。

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「苦悩する日中首脳会談」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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