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国家「絶秘、機密、秘密」3分類の闇

尖閣沖漁船衝突のビデオ映像流出事件との対比で考える

2010年12月3日(金)

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 尖閣諸島で発生した中国漁船衝突事件は、現場のビデオ映像が2010年11月4日夜に動画共有サイトYouTubeに掲載されたことで「国家機密の漏洩」問題に発展した。当該ビデオの投稿者sengoku38氏の身元を割り出すための捜査が進む中、11月10日に神戸海上保安部主任航海士が名乗り出たことで、事態は国家公務員による秘密漏洩に議論の焦点が移った。諸外国には国家機密の漏洩を防止するための「国家機密保持法」があるが、日本にはこの種の法律は存在せず、これを補うものとして「国家公務員法」第100条に国家公務員の「秘密を守る義務」が規定されているだけらしい。

 それはさておき、ここで問題となるのは、中国漁船衝突のビデオ映像が国家機密に該当するか否かである。中国漁船衝突事件が起こったのは9月8日であり、同日付で逮捕された漁船の船長が処分保留で釈放されたのが9月24日、そして馬淵国土交通相がビデオ映像の管理徹底を指示したのが10月18日であった。事件が発生してから映像管理の徹底指示が出るまでの約40日間、ビデオ映像は機密指定を受けぬまま放置され、海上保安庁内部では自由に閲覧が可能な状態にあった。そして、事故から40日後に担当大臣がビデオ映像の管理徹底を指示したことによって、初めて機密指定の扱いとなったということになる。

上海市で名高い「ニセ医療機器摘発」医師

 ところで、中国には“保守国家秘密法(国家秘密保持法)”がある。この法律は1988年9月に成立して1989年5月1日に施行されたが、2010年4月29日に修正案が全国人民代表大会常務委員会で可決され、同年10月1日付で修正された同法が施行された。現行の修正された“保守国家秘密法”によれば、“国家秘密”とは「国家の安全と利益に関わり、法定の手続きに基づいて確定され、一定期間内は限られた範囲の人だけが知る事項」とある。

 “国家秘密”はその秘密度により“絶密(極秘)”、“機密”、“秘密”の3等級に分類され、特別な規定がある場合を除いて、その保持すべき期限は“極秘”が30年、“機密”が20年、“秘密”が10年を超えないとし、期限の到来でその秘密扱いは自動的に解除されると規定されている。一方、“国家秘密”の認定と等級付けは、国家機関、省レベルの機関および権限を与えられた機関や組織が3等級に認定する権限を持ち、その下に位置する市や自治州の機関および権限を与えられた機関や組織が“機密”と“秘密”の2等級に認定する権限を持つとされている。

 さて、広州を本拠とする週刊紙「南方週末」の2010年11月18日号は、「国家秘密は誰が決めるのか。中国国家機密の濫発を暴く」という記事を掲載した。記事の概要は次の通りである:

 2010年11月11日、上海市で名高い「ニセ医療機器摘発」医師の陳暁蘭が上海市衛生局を相手取って起こした訴訟の裁判が行われた。それは2010年3月に陳暁蘭が「政府情報公開条例」に基づいて、上海市衛生局を相手に同局が2004年7月に発行した「滬衛医政[2004]129号文書」(以下「129号文書」)<注1>の公開を求めたのに対して、同局が機密文書であることを理由にその公開を拒否したのを不服としてのものであった。

<注1> “滬”は上海市の別称、日本語の読みは「こ」。

 2004年当時、まだ無名であった陳暁蘭は上海市の一部の病院で品質の悪いニセモノ医療機器が使われていることを告発する文章を書き、それが本人の知らぬ間にネットに掲載された。この文書の存在を“内参”という共産党や政府機関向けの情報紙で知った上海市指導部は市衛生局に対して事実関係を調査して報告するよう命じた。

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「国家「絶秘、機密、秘密」3分類の闇」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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