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米韓FTAだけに注目しては見誤る

第15回:10年先を見据えた韓国の中南米戦略

2010年12月14日(火)

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 韓米FTA(自由貿易協定)再交渉が、12月5日に最終合意に至った。工業製品や消費財の95%以上の関税が、5年以内に撤廃されることになる。主な合意内容は、以下の通りだ。乗用車は、互いに4年後に関税を撤廃。米国は、韓国車に対する輸入関税2.5%を4年間維持した後に撤廃。韓国は、発効日に米国車に対する8%の輸入関税を4%に引き下げ、これを4年間維持した後に撤廃。電気自動車は、韓国(4%)と米国(2.5%)が4年にわたり関税を均等に撤廃。トラックは、米国が7年経過後に関税(25%)を均等に撤廃。豚肉は、韓国が米国産豚肉の輸入関税を2年後に撤廃する。

 韓米FTAの発効は、両国で手続きが順調に進めば、2012年頃の見通し。発効すれば、韓国は、その経済効果がこれまでに締結したFTAの中で最大となる。韓国の政府系シンクタンク11社の共同分析によると、対米輸出が年平均14億ドル増加し、韓国GDP(国内総生産)は長期的に6%増加すると見込まれている。ちなみに自動車や家電などの対米輸出(2009年)は、韓国総輸出の10%を占めている。一方、米国は、オバマ大統領の発表文によると、対韓輸出が年間最大110億ドル、雇用が最低7万件増えると予測されている。また、韓国の金融サービス市場(5600億ドル)への参入機会が広がると読んでいる。

米韓FTAで、日本は1兆5000億円の輸出機会を失う

 韓米FTA発効が日本に与える影響はというと、甚大と言わざるを得ない。経済産業省よると、日本は2020年までに自動車・家電・機械など対米輸出の機会が1兆5000億円分、関連の国内生産の機会が3兆7000億円分奪われると試算している。特に自動車産業への影響が大きい。韓国がASEAN(東南アジア諸国連合)とインドに続き、EU(欧州連合)、米国とのFTAも発効すれば、世界自動車市場の半分に相当する3000万台の市場で競争不利になる。

 そこで気になるのが、ここへきてなぜ韓米FTAが急進展したかということだ。

 単純な経済的利害だけではなさそうだ。その背景の1つには、米国が、経済的同盟関係を梃子に、安全保障面での米韓同盟関係をさらに強固する狙いがあったのではなかろうか。韓米FTA合意の期間が、北朝鮮砲撃に伴う韓米合同軍事演習の期間と重なったことから推測できる。また、李明博(イ・ミョンバク)大統領の「韓米FTAは両国に大きな経済的利益をもたらし、韓米同盟関係を一段階跳躍させる契機となる」との発表文からも反証することができよう。もう1つは、韓-EUのFTAに妥結したEUが、韓国を拠点にアジア市場を攻め込んでくることに対する米国の焦りがあろう。

 しかしより本質的には、米国がアジア太平洋地域経済への関与を拡大し、同地域でのリーダーシップを取り戻すことである。ヒラリー・クリントン国務長官が、2010年10月ハワイ州ホノルルでこのような趣旨の演説を行っている。

 日本からも耳目を集めた米韓FTAの締結。だが、韓国にとってみれば、米国との関係強化はこれから5年間の成長につながるものにすぎない。そして、その先となる10年後の成長にむけての手も打ちつつある。それは、2020年に向けて著しい成長が期待される中南米諸国との積極的なFTA戦略だ。

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