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ユーロ存続の危機

経済強国による「緩衝地帯」創造の可能性

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2010年12月13日(月)

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Peter Coy(Bloomberg Businesswee経済担当エディター)
米国時間2010年12月2日更新「Can the Euro Survive?

 1998年12月と1999年1月、ロシアの高エネルギー物理学者のグループが、陽子数が最も多い超重元素の合成に成功した。これは「ウンウンクアジウム」と呼ばれるもので、陽子の数は114に及ぶ。これは素晴らしい技術的成果だった。だが悲しいかな、ウンウンクアジウムは非常に不安定な物質であるため、自然界では存在することが難しい。原子核を結び付ける力がそれを引き離そうとする力に負けてしまうためだ。この人工元素の半減期はわずか2.6秒である。

 ロシアの物理学者たちがウンウンクアジウムを造り出そうとしていたころ、陰気な科学を研究する別のグループ――つまり経済学者たち――が西欧諸国の通貨から「ユーロ」と呼ばれる新しい人工元素をつくり、1999年1月1日に大々的に導入した。

 ところが、それから1ダース分の年もたたないうちに、ユーロは深刻な事態に陥っている。米ブラウン・ブラザーズ・ハリマンで為替戦略部門を率いるマーク・チャンドラー氏は「欧州当局者は信用を浪費してしまった。チューブから出てしまった歯磨き粉のように、それは戻すのが難しい」と語る。

 耳の痛い質問ばかりが聞かれる。欧州の金融の安定を回復するには何が必要なのか? ウンウンクアジウムのようにユーロも、自然界で存在するには大きすぎるのか。もしそうなら、どのように崩壊し、その過程でどれくらい影響を与えるのだろうか?

欧州統合の高邁な理想が重荷に

 欧州の政治家たちが非常に心配しているのは、“大火事”の被害が防火帯を越え続けていることだ。アイルランドに対する850億ユーロの緊急融資案を11月28日に発表した後も、ユーロを導入した国々の借り入れコストは上昇し続けている。

 アイルランド議会が、提示された条件をのみ、融資を受けることに同意するかすらはっきりしない。同国最大の労働組合SIPTU(サービス・産業・専門・技術労組)のジャック・オコナー事務局長は「この融資案は(治癒の奇跡を起こすと信じられている)ルルドで発表されるべきだった。奇跡なしでは失敗に終わるのは間違いないからだ」と語る。

 ユーロが誕生した1999年にさかのぼってみよう。欧州諸国は当時、歴史上重要な欧州の通貨――スペインのペセタやフランスのフラン、オランダのギルダー、ドイツのマルク――を使用しなくすることで、「欧州は抗争の歴史を悔い改められる」という高い志を掲げていた。

 ユーロ導入の式典で演壇に上がった人々は、英国のウィンストン・チャーチル首相が1948年に述べた言葉を思い出させた。「私は、こんな欧州の姿が見たい。欧州に暮らすすべての人が、『それぞれの国の国民である』という帰属意識を持つのと同様に、『自分は欧州人だ』と自覚し、欧州の広大な領土のどこへ行っても『帰ってきた』と心から感じられるような欧州だ」。

 だが、どちらかと言えば、今起きているのは逆の現象である。ユーロは多くの国にとって重荷となった。連帯が強要されたことで、各国間の反感が蘇りつつある。

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