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FTA政策に見る日韓の温度差

「同盟」強化のために毒素条項を飲むのか?

2010年12月15日(水)

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 北朝鮮による延坪島砲撃の後、韓国は軍事訓練を強化し、北との緊張関係が続いている。そんな中、週末のテレビで「韓米FTA電撃妥結」の速報が流れた。韓米FTAは、2007年6月に合意したものの、米議会が批准しないまま3年以上膠着状態にあった。しかし両国は追加交渉で合意。ついに山を越えた。両国の国会が批准した後、2012年1月1日に発効する予定だ。

 よく知られている通り韓国は、輸出入がGDPの69.8%(2006年)を占めている。対外交易への依存度が高いのだ。韓国にとってFTAは、以下の目標を実現するため重要な国家戦略である。関税を安くして、輸出入で競争力を持つ。安定した市場を確保しつつ、新しい市場を切り開く。

韓国経済界は合意を歓迎

 韓米FTA追加交渉は、「韓国が損をするだけの再交渉」として問題となっていた。米国は韓国に対して、韓国産自動車に対する輸入関税を撤廃する時期の延長や、環境・安全基準の緩和を求めていた。関連業界の反発が予想されたが、「韓国自動車工業協会」、「全国経済人連合」、「大韓商工会議所」などの団体は次々に「韓米FTA追加交渉合意歓迎、早期批准を望む」という声明を発表している。

 韓国の経済界は韓米FTAを歓迎している。完成品の自動車に対する関税撤廃は延期されたものの、自動車部品については、FTA発効と同時に4%の関税が撤廃となる。韓国の中小企業の輸出が伸びるだろう(対米輸出品目4位、2010年1月~10月33.6億ドル)。自動車は現地生産も多いので、関税撤廃が延期になっても、韓国が受ける打撃はそれほど大きくはない(対米輸出品目2位、2010年1月~10月 韓国の対米輸出43万台 現地生産32万台、2009年通年 韓国の対米輸出45万台、米国の対韓輸出6500台)。

 加えて、電気自動車の関税撤廃が前倒しとなり、新しい市場を開拓するチャンスが広がった。米国の輸入関税は現行の2.5%から徐々に減らし、5年目から無関税となる。米における韓国産自動車のブランドイメージアップにつながる。

韓国のもう一つの狙いは投資家の懸念を払しょくすること

 北朝鮮との緊張が高まる中、対韓投資リスクに対する外国人の懸念を取り払うためにも、韓米FTAで強い同盟関係をアピールする必要がある。譲れるところは譲って米との関係をうまく持っていきたいという思惑がある。

 オバマ大統領も李明博大統領も追加交渉での合意を「両国がWIN-WINできる基盤が整った」、「両国の同盟とパートナーシップが強力なものであることを見せた」と評価している。韓米FTAのキーワードは経済効果よりも「同盟」に焦点が当てられているように感じた。

 オバマ大統領は「韓国とのFTAが米国の輸出拡大と、雇用増大に効果がある」と強調していた。関税撤廃を延期することで自動車の現地生産を増やし、米内の雇用を高めたいという狙いもあったのだろう。

韓国にとって得か損か? 予測はさまざま

 韓米FTAがもたらす経済効果はとても高いと言われている。対外経済政策研究院が2007年4月に発表した分析は、韓米FTAは、米国以外の国とのFTAよりも経済効果が高く、GDPが10年間で6%増加すると見込んでいる。デパートなどでは「韓米FTAによって米のブランド品が安くなる。米製品を韓国に集めて観光客に売れば儲かる」と期待する声もある。輸入品が安くなるので1世帯当たり月間3000円ほどの生活費を節約できるという推定もあった。

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「FTA政策に見る日韓の温度差」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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