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財政統合なければユーロ崩壊

【検証:ユーロ危機2】欧州改革センターのティルフォード氏「南米型のデフォルトが必要」

2010年12月17日(金)

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【検証:ユーロ危機1】から読む)

 財政難を抱え「PIIGS(ピッグス)」と揶揄されるポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、そしてスペイン。こうした国の中でも、競争力がない国はデフレに陥り、実質的に負債が急速に増えていく危険がある。

 英シンクタンクのサイモン・ティルフォード氏は、危機から抜け出すために今すぐにでも債務の再編をすべきだと説く。さらに、長期的にはEU域内で財政統合を進めなければ、ユーロは崩壊することになると指摘する。

(聞き手は日経ビジネスロンドン支局、大竹剛)

―― なぜ、ユーロ圏でソブリン危機が一向に収まる気配を見せないのか。

英シンクタンク、欧州改革センターのチーフエコノミスト、サイモン・ティルフォード氏

 ティルフォード 数か月前と状況が変わったのは、投資家は今、ユーロ圏でデフォルト(債務不履行)が起きる可能性を信じていることだ。一部の投資家は常に、この可能性を考えてきたが、今やより多くの投資家がデフォルトはありえると考えている。長い間、ユーロ圏ではデフォルトは不可能だとの仮定があった。絶対に許されることではないと。

 しかし、今やユーロ圏のいくつかの国では、危機から抜け出す調整過程はとても困難なものに見える。今回の危機を深刻化させたのは、10月中旬にドイツとフランスの政府が、国家が金融危機に陥った際に民間投資家にも大きな損失を強いる、危機解決メカニズムの創設を提案したことにある。民間投資家も返済金額の一部減免を受け入れなければならなくなる。それについては特に議論の余地はないことだが、問題はその議論がとても微妙な時期に出てきて、投資家にデフォルトが今や起こりえるということを確信させてしまった。

債務が膨れ上がる“負のスパイラル”

―― デフォルトがあり得る場合、そこに至る道筋はどのようなものになるのか。

 問題は大きく分けて2つある。1つは国際競争力の問題だ。ユーロという単一通貨を導入しているために、通貨を切り下げることができず、その代わりにほかのユーロ圏よりもコストを引き下げる必要がある。そしてもう1つが、巨額の財政赤字である。

 もし、労働賃金などの引き下げなどでコストをカットしたら、基本的に経済活動を停滞させることになる。収入は下がり、インフレ率も下がる。その結果、負債の実質価値を押し上げることになる。また、賃金と収入の引き下げにより税収も減り、財政はさらに悪化し、さらに公的支出を削減する羽目になる。

 これらすべてのことが、基本的に経済成長を弱め、デフレをもたらす方向に作用する。

 アイルランドは、既に負債の罠にとらわれており、ほかの国もそれに続こうとしている。これらの国に必要なのは輸出の拡大だが、通貨の切り下げができないためにコストを引き下げるしか道はなく、それが経済を低迷させ公的債務を持続不可能なレベルにまで膨れ上がらせる結果になる。

インフレの心配はない、怖いのはデフレ

 ユーロ圏全体で見れば、債務のレベルは政府、民間ともに行き過ぎたものではない。問題なのは、ユーロ圏内での負債の分配にある。ユーロ圏内には、巨大な債権国と債務国がある。これは共生関係とも言えるもので、債権国と債務国は相互に依存し合っている。非難されるべきは債務国だけではないのだ。それは、米国と中国の関係が問題を抱えていることと少し似ている。

 ECB(欧州中央銀行)は、国債を購入することでもっと危機を緩和できるはずだ。これまでもアイルランドやポルトガル、スペインの国債を少しだけ買ってきたが、もっと購入できる。しかし、国債購入はインフレを抑制するというECBの本来の資格を損ないかねないと、ドイツやオランダ、オーストリア、フィンランドなどから強い反対がある。

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「財政統合なければユーロ崩壊」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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