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前代未聞 メガトン級の機密漏えい事件に迫る

2010年12月17日(金)

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 内部告発サイト「ウィキリークス」が世界を震撼させている。世界中の米大使館や領事館からワシントンに送られた外交機密文書が暴露され、米国政府が本音で何を考えているのか、どのような情報をどのように分析し、どのような外交を展開していたのか、その外交の「手の内」が明らかになってしまった。また世界各国の首脳たちの秘密や関係諸国の水面下の取引、それに国際外交の舞台裏の駆け引きの一端が、白日の下にさらされてしまったのである。

 米国政府はウィキリークスに対する国際的な包囲網を形成して圧力をかけ、創設者のジュリアン・アサンジは2010年12月7日に英国で逮捕。各国政府や民間企業がウィキリークスの「締め出し」に躍起になる中、ウィキリークスを支持するネットの「反乱勢力」が世界規模でサイバー攻撃を仕掛け、世界で初めて本格的な「インターネット戦争」が展開されている。

 かつて米国と覇権を争っていたソ連ですらできなかったほどの大打撃を米政府に与えたウィキリークス。ただの一非政府組織が、なぜこれほどまでの力を持つことが出来たのだろうか。

 そもそもウィキリークスとはどんな組織で何を目指しているのか。誰が大量の米機密文書を漏洩したのか。そしてこの米機密文書の暴露は、オバマ政権と世界に今後どのような影響をおよぼすのだろうか。

 21世紀の国際政治のプレーヤーになったウィキリークスと前代未聞の機密情報暴露事件を徹底的に検証する。

(日経ビジネスオンライン編集)

前代未聞の機密情報の漏洩

 「これは深刻な法律違反であり、わが国の外交に従事もしくは支援している個人に対する大変な脅威である」

 2010年11月29日、米ホワイトハウスのロバート・ギブス大統領報道官は、深刻な表情でこう述べた。同日、ヒラリー・クリントン米国務長官も、「これは米外交の権益に対する攻撃にとどまらない。国際社会全体に対する攻撃だ」と鼻息を荒くした。

 この前日、内部告発サイト「ウィキリークス」が、25万1287点におよぶ米機密外交文書を公開し始めたのだ。1966年から2010年2月までの間に米政府の在外公館274箇所とワシントンにある国務省の間を飛び交った秘密の外交公電が、誰もがアクセス可能なインターネット上にあるウィキリークスのウェブサイト上で閲覧可能になったのである。

 米国の歴史上、これだけ大量の外交機密文書が漏洩したことはいまだかつてない。まさに前代未聞のメガトン級機密情報漏洩事件が勃発したのである。

世界に広がる「ウィキリークス・ショック」の波紋

 暴露された機密文書には、各国大使館や領事館の大使や政治担当官等が詳細に綴った各国の背景情報や、各国政府高官との会談の議事録、ワシントンの国務省から各国大使館に宛てられた行動指示書など多数の外交公電が含まれていた。事前にウィキリークスから文書の閲覧を許された一部の大手欧米メディアが一斉にこの問題を報じたこともあり、公電内容は瞬時に世界中を駆け巡った。

 公電が明かしたのは、決して表に出してはならない各国首脳たちの生々しい会話であり、米外交官たちの率直な情勢分析であった。

 2008年4月20日、サウジアラビアのアブドラ国王が、当時米中央軍司令官だったデヴィッド・ペトレイアス大将と当時の駐イラク米大使ライアン・クロッカー氏に対して、「蛇の頭をぶった切って欲しい」という表現を使って“イランを軍事的に叩いてほしい”と要請した話。フランスの国防相がゲーツ米国防長官に対して、「イスラエルは米国の助けなしに単独でイランを叩くことが出来るのか」と質問したのに対し、ゲーツ長官が「成功させることが出来るかどうかは別にして、軍事作戦自体を遂行することは可能だ」と答えた話。駐トルコ米大使館の外交官たちが、「トルコは今にも危険なイスラム主義に陥りそうだ。エルドアン首相は無能なアドバイザーの一群に頼っており視野が狭い」と報告した話、クリントン国務長官がインドのことを「国連安保理常任理事国の“自称最有力候補”だ」と皮肉っていた話…、いずれも政治的に繊細かつ微妙な内容ばかりであった。

「世界の外交に対する911テロ」

 「各国の政府は別に米国を好きだからつき合っているわけではない。米国が信頼できるから、米国が秘密を守れるから関係を持っているのではなく、それが彼らにとって利益となるから付き合っているのだ。中にはわれわれに対する恐れから、別の国々はわれわれに対する尊敬からつき合っているが、ほとんどの国々は米国を必要としているから外交関係を持っているのだ」

 こう述べたゲーツ米国防長官は、“ウィキリークスの暴露が米外交に大打撃”と報じるメディアに対して、「彼らの反応は大袈裟すぎる」「米外交に対する実害は限定的だ」と火消しに努めた。しかし、「ウィキリークス・ショック」のインパクトは少しずつ、確実に世界中に広がっていった。

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「前代未聞 メガトン級の機密漏えい事件に迫る」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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