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ウィキリークスを作るために生まれた男

2010年12月22日(水)

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 内部告発サイト「ウィキリークス」が世界を震撼させている。世界中の米大使館や領事館からワシントンに送られた外交機密文書が暴露され、米国政府が本音で何を考えているのか、どのような情報をどのように分析し、どのような外交を展開していたのか、その外交の「手の内」が明らかになってしまったのである。

 米国政府はウィキリークスに対する国際的な包囲網を形成して圧力をかけ、創設者のジュリアン・アサンジは2010年12月7日に英国で逮捕。各国政府や民間企業がウィキリークスの「締め出し」に躍起になる中、ウィキリークスを支持するネットの「反乱勢力」が世界規模でサイバー攻撃を仕掛け、世界で初めて本格的な「インターネット戦争」が展開されている。

 かつて米国と覇権を争っていたソ連ですらできなかったほどの大打撃を米政府に与えたウィキリークス。ただの一非政府組織が、なぜこれほどまでの力を持つことが出来たのだろうか。

 そもそもウィキリークスとはどんな組織で何を目指しているのか。誰が大量の米機密文書を漏洩したのか。そしてこの米機密文書の暴露は、オバマ政権と世界に今後どのような影響をおよぼすのだろうか。

 21世紀の国際政治のプレーヤーになったウィキリークスと前代未聞の機密情報暴露事件を徹底的に検証する。

前回は【ファイルNO1】前代未聞 メガトン級の機密漏えい事件に迫る そして2回目の今回は・・・ 

(日経ビジネスオンライン編集)

 12月16日、英国で拘束されていたウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジが保釈された。ロンドンの高等法院前に集まっていた報道陣の前で、アサンジは保釈決定の文書を高々と掲げ、「勝利」の笑みを浮かべた後、防弾車両に乗りこんでイングランド郊外へと消えていった。

 アサンジが向かったのはロンドンから北東190キロほどに位置するイースト・アングリアのエリングハム(Ellingham)村の近くにあるエリングハム・ホールであった。ここは18世紀に建てられた240平方メートルもある豪華な3階建てのお屋敷で、寝室だけで10部屋もあると伝えられている。スウェーデンへの移送をめぐる尋問は来年1月11日に一回目が行われる予定だが、アサンジはしばらくの間この屋敷に滞在して活動を続けることになる。

 この豪邸のオーナーは元英国陸軍の将校でビデオ・ジャーナリストのボーガン・スミス(Vaughan Smith)である。同氏はロンドンを拠点とする「独立と透明性」を求めるフリー・ジャーナリストたちの集まりである「フロントライン・クラブ」の創設者であり、アサンジは過去数カ月、同クラブの施設を頻繁に利用していた。スミスは1500名におよぶ同クラブの会員を代表してアサンジへの支持を表明し、エリングハム・ホールをアサンジに提供したことを明らかにしている。

 アサンジを支持しているのはスミスやフロントライン・クラブ所属のジャーナリストたちだけではない。24万ポンド(約3150万円)の保釈金は、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーの元妻で映画監督、人権活動家として名高いビアンカ・ジャガー、反ブッシュ映画で有名な映画監督マイケル・ムーア、名高い作家で慈善活動や人権活動家としても知られるジャマイマ・カーンなど世界中の裕福なメディア関係者がカバーした。またイギリスの出版社オーナー・フェリックス・デニスやノーベル生理学・医学賞受賞者のジョン・サルストン博士もアサンジの裁判費用を負担することを明らかにしているし、オーストラリアの映画監督ジョン・ピルジャー等は、「ジュリアン・アサンジ防衛基金」を設立して、アサンジを支援するための資金集めに奔走している。

 日本では「機密情報を暴露した胡散臭い元ハッカー」といったネガティブな印象で語られることが多いようだが、欧州の独立系メディア、反権力志向の強い映画監督やジャーナリスト、リベラルな人権活動家や反戦活動団体の間では、アサンジは今や「ヒーロー」であり圧倒的な人気がある。ウィキリークスの背後には彼らの活動を支える世界的なネットワークが存在するのである。

コメント6

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「ウィキリークスを作るために生まれた男」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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