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富裕層に朗報、米の減税継続法案が成立

史上最低レベルの税率が継続

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2010年12月22日(水)

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Ben Steverman(Bloomberg News記者)
米国時間2010年12月15日更新
It's a Great Time to Be Rich

 米国では現在、今年で期限切れとなる減税措置を延長させる法案の審議が大詰めを迎えている(12月16日深夜に下院が可決。17日、オバマ米大統領が署名し成立した)。この法案が成立すれば、米国の高額所得者は2012年までの2年間、きわめて恵まれた税制環境を享受できる。

 米議会上院が12月15日にこの減税延長法案を可決。法案審議の舞台は下院に移った。法案が成立すれば、高額所得や投資収益に課される税率は過去最低水準になる。抜け目のない米国の富裕層にとって、非常に有利な投資環境となる。富裕層は(ごく短い一時期を除き)、過去80年間で最も低い相続税率で遺産を相続できるようになる。30年前、米連邦政府は最高所得層や資産家の遺産に70%の税率を課していた。このときとは大違いだ。

 米キニピアック大学法科大学院のジェフリー・クーパー教授は「この法案の成立後、富裕層世帯に極端に有利な環境になる」と指摘する。かつて相続対策の顧問業務を行っていた同教授は、米国の税法史の専門家だ。

1931年以降最低レベルの所得税率を延長

 この減税法案が富裕層に有利に働く理由の一つに、所得税に関する減税措置の延長がある。ジョージ・W・ブッシュ前大統領が2003年に導入した減税措置を延長し、所得税の最高税率35%を継続する。この最高税率は1988~1992年を除けば、1931年以降で最も低い水準だ。

 米インディアナ大学のアジャイ・メーロトラ教授(法学)は「最高税率は歴史的に見て異例の低さだ。最も驚きなのは、米国がアフガニスタンとイラクの2カ所で戦争を繰り広げながらも、これほど低い税率を維持してきたことだ」と指摘する。過去において、戦争が行われている期間、富裕層の所得税は増税になっていた。

 所得税が最初に導入されたのは19世紀の南北戦争の時期だ(その後に撤廃された)。第1次世界大戦中の1918年、所得税の最高税率は77%に増えた。第2次世界大戦中の1944~45年には、税率は94%に上昇した。

 米議会が減税を延長しなければ、所得税の最高税率はビル・クリントン元大統領時代の39.6%に戻る。オバマ大統領と議会民主党は当初、年収20万ドル(約1700万円)以上の個人と世帯年収25万ドル(約2100万円)以上の夫婦に課す最高税率をクリントン政権時代の水準に戻そうと目論んでいた。

 米資産運用会社ベッセマー・トラストの税務・資産設計顧問業務を統括するスティーブン・バックスリー氏は「各種減税措置の延長は、多くの富裕層に想定以上の一時的利益をもたらすだろう」と語る。

 高所得層を含む全納税者は2010年から、従来型IRA(個人退職年金勘定)――積立金を引き出す際に課税される――を非課税のロスIRA(ウィリアム・ロス上院議員が法案を起草したためこう呼ばれている)に切り替えることができる。この際に重要なことが一つある。納税者は2010年に限り、この切り替えに伴う税金の支払いを2011~2012年に分割することができる。

 バックスリー氏は「当初2011~12年の税負担は増えると見られていた。これは、好ましいことではなかった」と語る。だが、今回の減税延長で、今後2年間は同じ税率を維持することになった。ロスIRAに切り替える恩恵が拡大する。

投資所得に対する最高税率も、1933年以降の最低を継続

 米国の最も豊かな世帯にとって、給与所得に対する課税よりも投資所得に対する課税の方がはるかに重大な影響がある。米民間調査機関の税制センター(TPC)は、2006年の確定申告状況を調査した。その結果、米国民の現金所得の18.1%が金融投資などの不労所得によるもので、64.5%が勤労所得によるものだった。だが、所得最上位1%の富裕層では、不労所得が53.6%を占め、勤労所得の割合は35.3%にすぎなかった。

 クーパー教授は「富裕層にとって、キャピタルゲインや配当に対する課税は、所得税率よりもはるかに重要な意味を持つ」と指摘する。オバマ政権と議会共和党幹部が妥協して取りまとめた今回の減税法案は、2003年の減税措置――長期投資のキャピタルゲインと配当に対する最高税率を15%に引き下げる――を継続する。

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