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「現地化」に潜む落とし穴

「ついに誕生!中国人総経理」で暗転した現地法人の顛末

2011年1月5日(水)

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 「金さん、やりましたよ。これでうちの会社も、やっと『本当の現地化』が実現しました」

 ある日系企業の財務担当である日本人の方は興奮した様子で私に電話をかけてきました。「本当の現地化とはどういうことですか」と聞くと「ついに総経理が中国人になります。弊社では初の出来事です。中国に進出してから採用して、ずっと頑張ってきてくれたので、彼の努力にも報いることができます。私はうれしくて、うれしくて・・・」。

 その方は興奮が冷めやらない様子でした。私も一緒に興奮し「それはよかったですね。ぜひ一度、ご挨拶をさせてください」とその時は電話を切りましたが、その後、予想もしない結果になるとは、想像もできませんでした。

鳴り物入りの総経理就任

 その会社は中国に進出してもう15年以上経っていました。商社機能を持った販売会社で、従業員は100人前後です。長期にわたって採用のお手伝いをさせていただいた私にとっても重要な顧客の1つでした。

 歴代の総経理は日本人駐在員が担当していました。中国人社員が実務の一部を担当する人事部門はありましたが、その責任者は財務担当の日本人駐在員が兼任していました。駐在員は3~5年で交代をしており、現在の財務・人事責任者は5代目に当たります。

 私は事業戦略・組織・人事・採用全般にわたり、いろいろアドバイスをさせていただきました。総経理や財務・人事担当の方と頻繁に情報交換をする中で、中国事業に対する考え方も聞いています。中国には中国の国情があるから、販売会社は直接販売や代理店の管理運営上、現地化が不可欠であるといったことです。赴任者の数を減らすのと並行して現地化を進めようという方針が、徐々に浸透し始めていました。

 新しく総経理に就任された中国人社員は、現地の営業統括本部長から大抜擢された人でした。以前はある中国の民営企業に勤めていて、この会社が中国に進出して3年足らずで転職してきました。現地法人の草創期を知っている叩き上げ人材と言え、営業活動の基盤を作られた方と言っても過言ではありません。

 年齢は40代。現場を一手に仕切り、業績も上げていました。バイタリティーにあふれていて日本語も堪能。親分肌で部下からの信頼も厚いと評判でした。まさに、現地法人の命運を賭けた総経理就任でした。

狂い始めた歯車

 財務・人事担当の日本人の方から「中国人が総経理になるに当たり、これまで兼任で済ませてきた人事の責任者も現地化したい。採用を手伝ってくれないか」という依頼をいただきました。

 こうして人事課長と人事担当社員の2人が入社。続けてこの2人から「新総経理が人事制度改革を行うので、アドバイスして欲しい」と言われ、定期的なミーティングがスタートしました。課題はいろいろ出てきましたが、それぞれ前向きに改革できるよう、私を含めた3人で議論を重ねていました。

 ところが、定例ミーティングを始めて半年が経った頃、私は2人の様子が少しおかしいことに気づきました。

 それまで、経営ビジョンや事業戦略について侃々諤々の議論をして、それにふさわしい組織や制度を考えていたのに、急に意見が少なくなり、「今までの制度の焼き直しでいい」と言わんばかりの消極的な態度になってきたのです。

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