経済観察報記者 呉ウェイティン
「ジーンズの村」として有名な広東省増城市の新塘鎮が、中国中のメディアの注目を集めている。原因は産業の発展ぶりでも洒落たファッションでもない。深刻な環境汚染だ。
国際的な環境保護団体のグリーンピースは最近、新塘鎮の河川が重度に汚染されているという報告書を公表した。グリーンピースが新塘鎮で採取した3つの汚泥のサンプルからは、鉛、銅、カドミウムなど、いずれも中国の環境基準を超える濃度の重金属が検出された。そのうち1つのサンプルには、基準の128倍ものカドミウムが含まれていた。
同じ報告書で、グリーンピースは「下着の村」として名高い広東省汕頭市の谷饒鎮でも汚染が深刻だと名指しした。中国紡織工業協会によれば、新塘鎮や谷饒鎮のように製品分野を特化した“紡織専業集落”は全国に133カ所あるという。両地の現状を鑑みれば、残りの131カ所でも深刻な環境汚染が起きていることは想像に難くない。
中国のジーンズの6割を生産
新塘鎮の西洲村は、かつては土地が肥沃で、果樹が林をなし、増城市の中でも自然の恵みが豊かな里として知られていた。だが、現在の西洲村にその面影はない。田畑や養魚場は工業団地に姿を変え、工場や石油タンク、発電所、廃水処理場などが建ち並んでいる。
工業団地の幹線道路には、工場の騒音と鼻をつく化学物質の臭気があふれている。工場の外にある排水溝の一部には、青みがかった黒色の排水がたまっていた。村内には養魚場がまだ2カ所残っているが、水質汚染の影響で魚の育ちが悪い。本紙(経済観察報)記者が村内を流れる5本の川を実際に見たところ、うち1本が多少ましだったのを除けば、川の水はいずれも黒く汚れ、異臭を放っていた。
この地のジーンズ産業の歴史は1980年代に遡る。当時、新塘鎮に進出してきた香港企業がジーンズの生産を始めたのをきっかけに、徐々に産業が集積した。現在の新塘鎮は、製糸、染め、織り、カット、プリント、縫製、脱色に至るまで、ジーンズの生産に必要な全ての工程が鎮内にそろっている。中国のジーンズの実に6割がここ新塘鎮で生産されているのだ。
地元政府にとって、ジーンズ産業は財政収入の7割を占める基幹産業である。新塘鎮政府のウェブサイトによれば、鎮内のジーンズ関連企業の数は2600社を超える。環境汚染の実態について、本紙を含む多数のメディアが新塘鎮政府と増城市政府の環境保護部門に取材を申し込んだが、いずれも拒否された。
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