今年も残りわずかとなった。ここ数年、「ユーチューブの年」「フェースブックの年」「ツイッターの年」といったように、影響力の大きいネット企業が毎年1社ずつのペースで登場していたが、今年はそれがない。
前半はソーシャルゲームのジンガ、後半はネット・クーポンのグルーポンの名前が挙がり、ほかにも話題のベンチャーは多いが、上記の3社に比べると小粒である。


ここシリコンバレーを中心とするネット産業が来年以降にどのような方向へ進んでいくのか。今年の最後に論じてみたい。
手始めに振り返りたいのが、ワイヤード誌の編集長、クリス・アンダーソンが今年8月に同誌に発表した「The Web Is Dead. Long Live the Internet(ウェブは死んだ)」と題する記事だ。
アンダーソンは、ベストセラー『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』(NHK出版)の著者として日本でも知られている。この衝撃的なタイトルの記事も翻訳版がGQ Japanの2011年1月号に掲載され、話題になっているようだ。
彼は2004年のワイヤード誌の記事「ロングテール」で、リアルとウェブの世界でのビジネス構造の違いについて論じ、「ウェブ2.0」の理論的支柱の1人となった。
例えば、書店における「紙」の本ならば、売り上げトップのごくわずかなタイトルだけが売り上げ全体のほとんどを占めるのに対し、ウェブならば膨大な数のあまり売れないタイトルをかき集めても相当規模の商売にすることができる。これがロングテールの考え方である。
ネット上では権力が分散し、誰でも自由にアクセスができ、モノやコンテンツを売ることも買うことも非常に低いコストで行える。こうした究極の「デモクラシー」の理想世界を謳歌するのが、ウェブ2.0の世界だった。
クローズド・インターネットへの強い流れ
そのアンダーソンが件の記事で展開した主張は、こうした自由でオープンなウェブの世界は終焉し、アップルやグーグルのような、少数のパワフルな大手企業が支配する「クローズド」世界へと移行しつつある、というものだ。
その理由について彼は、「悪いのは私たち自身だ。私たちは、細分化されたウェブでの終わりのない激しい競争に疲れてしまい、お金を払って誰かに面倒を見てもらいたいと思うようになったのだ」と記している。
私は、アンダーソンの記事で引用されているハーバード大学ロースクール教授のジョナサン・ジットレインの講演を数年前に聞いたことがある。彼は、『The Future of Internet』(邦訳版は『インターネットが死ぬ日』ハヤカワ新書juice)の著者だ。
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エノテック・コンサルティングCEO(最高経営責任者)。ホンダを経て1989年NTT入社。米国の現地法人で事業開発を担当。96年米ベンチャー企業のネクストウエーブで携帯電話事業に携わる。98年に独立し、コンサルティング業務を開始。米国と日本の通信・IT(情報技術)・新技術に関する調査・戦略提案・提携斡旋などを手がける。シリコンバレー在住。子育て中の主婦でもある。ブログ:







