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2011年の中国は歴史のターニングポイントに立つ

国威発揚は完了、次は課題の解決

2011年1月5日(水)

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 一つの時代が終わった。

 我々外部の人間が中国を観察するとき、2008年―2010年はセットで認識しなければならない。北京五輪、建国60周年パレード、上海万博、広州アジア大会。「国威発揚」を目的としたナショナルイベントが密集した時期だった。

 安定第一、効率第二、公平第三、人権第四。

 リベラル派の知識人たちは「この3年間で中国は正真正銘の警察国家になってしまった」とため息をつく。彼らは、中国には、グローバルスタンダードで振る舞い、法治主義と民主化を掲げる以外に道はないと主張してきた。

 中国政府はナショナルイベントを円満に成功させるために、あの手この手を使って、国内で噴出するあらゆる不安要素を揉み消そうとした。情報・言論統制。共産党のやり方に異議を唱える人間に対する軟禁、拘留、逮捕。集会・ストライキ・デモへの徹底した取り締り(反日デモは例外であったが)。思想・イデオロギー教育の強化などがそれに当たる。

2008~2010年:中国は警察国家に変身してしまった

 筆者の身の回りで起きた具体例を3つ挙げてみる。

 一つは、中国在住の中国国民として初めてノーベル平和賞を獲得した劉暁波氏の快挙を低調に、隠れて祝った知識人たちを中国政府は軟禁したこと。集いには公安局が派遣した私服警察が紛れ込み徹底監視した。軟禁された人の中には、当局の人間に棍棒で腰を思いっきり打たれ、重症を負った北京大学の先輩も居る。

 二つに、中国政府が、北京大学のキャンパス内に「三角地」という場所を解体したこと。五四運動や天安門事件など下からのムーブメントの出発点となった場所だ。知識人たちの集いの場である。民主化や自由、政治からの束縛に抵抗する、独立したアカデミズムを追求する精神がビラや看板という形で宣伝される、言って見れば「知識人のための掲示板」であった。

 政府は2008年8月の北京五輪前、この聖なる地を「外観をよくするために電子化する」という名目で解体した。

 行動で異議を唱える学生は皆無だった。自らのキャリアに傷がつくことを、彼らはしようとしない。80年代に民主化・自由化を唱えて行動を起こした当時の学生、今の教授は、この現状を悲しみ、校外の酒場で杯を交わした。筆者も加わり、共に泣いた。

 三つめは、2008年北京五輪前後、米国発の「Youtube」、「Facebook」、「Twitter」を突如ブロックし、中国国内からはアクセスできなくしたことだ。New York TimesやFinancial Times、日経ビジネスオンラインも含め、海外のニュース・ウェブサイトには自由にアクセスできるものの、インタラクティブで、自由民主主義に立脚したコミュニケーションの場には立ち入れなくなった。

 ただ、中国国民のイマジネーションとクリエイティビティーはすさまじく、瞬く間にソーシャルメディアの国産版をつくってしまった。当然24時間監視下にある。情報の流通、開放、自由化という大きな趨勢は、共産党のチカラを持ってしても、止めることはできないという実感を持った。筆者も少しだけ胸を撫で下ろしている。

政治は保守化する可能性が高い

 「2011年」という年は中国にとって一つのターニングポイントになる。「第12次5カ年計画」の元年、共産党成立90周年に当たる。2012年には共産党第18大会という、「政治の季節」が控えている。新しい国家リーダーが生まれ、権力構造が変わる。

 経済レベルでは出発点に当たる2011年も、政治的には通過点にすぎない。水面下で権力闘争が過激化し、各種改革をめぐる動きが保守に傾斜する可能性が高い。日本人、特に中国に進出している企業は、このデリケートな時期に突発的な事件が起きることで、再び「反日」の嵐が吹き始めることに十分注意したい。沿岸部の工場における労働者ストライキや政治関係の不安定化などには、例年以上に気を遣って取り組むべきだ。

コメント6

「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「2011年の中国は歴史のターニングポイントに立つ」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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