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引き締めても中国経済は失速しない

「リーマン」で乱れた金融秩序が戻ってくる

2011年1月13日(木)

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 ここ数年、東京株式市場は、前場は前日の米国市場、後場は上海市場の流れを引き継ぐという場面がしばしばみられる。この指摘が正しいとすると、昨年、中国株は日本株の足を引っ張った存在であったといえるかもしれない。

 しかし、企業収益に目を向けると結論はまったく逆である。2011年1月5日付けの日本経済新聞によると、日本企業が中国(香港を含む)に設立した現地法人の配当などからなる所得収支は2010年1~6月の累計で約4050億円の黒字となり、2005年の黒字額(通年で4330億円)に並ぶ水準に達した。通年では2009年(7590億円)を上回る可能性が高く、好調な中国内需で稼ぐ日本企業が増えていることが改めて裏付けられた。この事実が日本株楽観論が広がりつつある1つの要因ではないかと考えられる。

 ここにきて、インフレの高進及び不動産バブルを抑制するため、中国当局が金融引き締めを強化している。金融引き締めが中国経済を失速させる可能性がないのか、不動産バブルが崩壊すれば、中国も20年前にバブル崩壊を経験した日本と同じ轍を踏まないのか――。中国市場の重要性が高まるにつれ、このような懸念も強まってくるのは当然のことである。しかし、中国の金融引き締めが本当に懸念材料なのだろうか。

3%の物価抑制目標は現実的なのか

 中国のインフレに対する懸念が急速に高まっている背景には、消費者物価指数の上昇率が政府の物価抑制目標を大幅に上回る状況が続いていることがある。

 月次ベースの消費者物価指数(CPI)の前年同月比をみると、足元では、CPIの上昇率は3%を上回る水準で推移し、11月にはプラス5.1%と2008年7月(プラス6.3%)以来の高さに達した。デフレが続いている先進国からみれば、5%を超える物価上昇率は立派なインフレと言えるかもしれないが、新興国では普通の高さに過ぎない。

 また、80年代、20%を超える物価急騰を経験した我々の世代から見れば、この程度の物価上昇率をインフレと呼ぶのは抵抗がある、というのが正直な気持ちである。しかし、最近、中国の温家宝首相をはじめ、物価上昇に懸念を示す政府関係者の言論が急増しているのは、物価の上昇スピードが政府の想定を超えたためだ。

 2003年春、胡錦濤・温家宝政権が発足後、毎年3月に開催する全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で、温家宝首相は経済成長率だけでなく、消費者物価や失業率に関する政府見通しも発表している。

 ほとんどの国民にとっては、前者より後者のほうが自分の生活にかかわってくる最も関心の高い指標なので、国民生活を最重視する政策姿勢を打ち出している胡錦濤・温家宝政権は民意に配慮すると同時に、地方政府間のGDP成長率競争をけん制する意図もあると考えられる。

 ここ数年、政府は消費者物価上昇率を3~4%前後に抑えるという物価見通しを掲げている。2010年について、温家宝首相は3%前後に抑制するという見通しを示した。しかし、中国はなぜ毎年8%前後の成長率目標を掲げ続けなければならないのかという疑問と同様、この3%というインフレ抑制目標自体の根拠も曖昧であると言わざるを得ない。

 世界同時不況の影響で一時的にやや鈍化したものの、経済成長率及び可処分所得は名目と実質ベースともに2ケタ前後で伸びている。こうした状況下、物価上昇率を3%以下に抑え、「高成長、低インフレ」を目指す経済運営が非常に難しいはずだ。では、政府はなぜこの難しい目標にこだわり続けるのか?

食品価格の高騰が政治問題

 その原因は中国の消費者物価の中身に求めることができるかもしれない。

 現行の消費者物価指数の構成比(ウエイト)を見ると、「食品類」が約34%を占める最大の項目となっている。過剰供給能力を抱えている衣類や耐久消費財の価格がなかなか上がりにくい一方、光熱費や医療費などのサービス料金も政府に統制されているため、消費者物価がほとんど食品価格で決定されるのが実情だ。

 このウエイトから逆算すると、「食品類」の価格上昇率が2ケタまで届かなければ、3%前後という消費者物価の抑制目標は実現可能だ。2010年10月と11月の「食品類」がそれぞれ10.1%、11.7%上昇し、この警戒ラインを超えてしまったのである。

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「引き締めても中国経済は失速しない」の著者

肖 敏捷

肖 敏捷(しょう・びんしょう)

エコノミスト

フリーのエコノミストとして原稿執筆や講演会などの活動をしている。テレビ東京の「モーニング・サテライト」のコメンテーターを担当中。2010年の日経ヴェリタス人気エコノミスト・ランキング5位。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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