• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

賃金を10倍にしないと社員が辞める!?

日系企業が怯える「昇給神話」の虚と実

2011年1月19日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「金さん、至急相談したいことがあるのです。すぐに会社に来てくれませんか」

 1本の電話がかかってきました。普段から親交のある総経理(社長)からでした。私は採用活動の相談かと思ったのですが、そうではなさそうです。興奮した様子の総経理が「話は後。とにかく来てくれ」と言うので、早速、会いに行きました。

 すると総経理は、困り果てた表情でこう言ったのです。「うちの会社の平均賃金を10倍にする方法を教えてくれませんか」。

平均賃金を10倍にしてほしい

 その会社は日本では大企業に属する規模ですが、中国法人はまだ中小規模の会社でした。100%出資で中国に進出して5年なので、現地法人の歴史はそれほど長くはありません。生産工場を持つメーカーで、社員数は約200人です。上海の郊外に工場があり、市内に営業拠点があります。

 「いきなり社員の平均賃金を10倍に? ・・・いったいどうしたというのですか」。そう聞く私に、総経理はこう言いました。「金さん、このままだと社員全員が辞めてしまうかもしれない・・・」。

 総経理の話はこうです。
「弊社は中国に進出して以来、堅実に、そしてまじめに事業を進めてきました。社内の雰囲気も悪くありません。おかげさまで売上も順調です」
「しかし、先日あるコンサルティング会社の方が来ました。賃金調査も行っている会社だったので、うちの会社の賃金水準はマーケットでどれぐらいの位置にあって、弊社の社員はどのぐらいの価値があるのかを聞いてみました」

 つまり、この総経理はコンサルティング会社に賃金調査を依頼したのです。

驚愕の結果だった調査報告

 総経理は事細かに調査概要を私に説明してくれました。まず自社の社員について、その職位や職責についてアンケートに答えます。

 例えば、個別の社員の職位とその名称、等級、職位別の人員の比率、職位別の学歴や経験、マネジメントやプロジェクトの範囲、指揮命令系統と報告の対象、職責及び目標(目標達成度合いを含む)といった項目です。そして、それぞれ現在の賃金を記入します。

 このコンサルティング会社は、この会社の競合会社6社でも同様の調査をしていました。つまり、ライバル会社との間で賃金の比較ができるわけです。6社の中にほかの日系メーカーはなく、欧米系と中国の民営企業だけでした。この総経理は、日系の同業の中では自社の賃金は高い方だと自負しており、私もそう感じていました。

 ところが、そうではなかったのです。総経理は棚の奥から分厚い調査報告書を持ってきて説明を始めました。

 「金さん、とりあえず見てみてください。同じ仕事内容や職位で並べて各社を比較すると、弊社の200人の社員のうち競合会社の平均的な水準を超えている人はわずかだったのです。少しはそういう人もいるかもしれないとは思ったのですが、これほどだったとは・・・」

 ショックを隠し切れない様子の総経理は、こう続けました。「何よりもショックだったのは、全社の平均賃金です。会社の規模に違いはあるものの、弊社の平均賃金はあまりにも低いことが判明しました」。

コメント4

「金鋭のなぜ日本企業は中国で勝てないのか」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

全体の2~3割の人でも理解し、動き出してくれれば、会社は急速に変わります。

中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長