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技術記者が解説する「ウィキリークスを潰せない理由」(前編)

  • 斉藤 栄太郎

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2011年1月17日(月)

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 2011年に入っても、内部告発サイト「ウィキリークス」による機密情報の暴露は一向に衰える気配を見せない。年明け直後の1月1日には、東京の米国大使館発とされる日本の調査捕鯨に関連する公電が公開され、大きな話題となった。

 連日のように世界中で報道されているウィキリークス関連のニュースだが、伝えられる内容はもっぱら暴露された情報そのものやウィキリークス創設者であるジュリアン・アサンジ氏の言動や動向、政治的な話題が中心となっている。多くの人が注目しているのはまさにこれらの話題であるから、このこと自体は至極当然である。

 しかし、それ以外の情報、例えば「ウィキリークスではどんな技術が使われているのか」や「ウィキリークスを潰したい人が山ほどいるのに、潰れないのはなぜか」、「告発者の匿名性をどうやって守っているのか」などについても知りたいと思っている人は少なからずいるはずだ。

 残念ながら、そうした技術面にフォーカスを当てた解説記事は日本国内ではほとんど見かけない。

 ウィキリークスという間違いなく歴史に名を残すインターネットの“サービス”が、いったいどんな技術や仕組みに支えられているのか。なぜ米国政府などによって潰されないのか---。基本となる技術をしっかり押さえておけば、ウィキリークスについてのこうした疑問が解消できるだけでなく、おそらく今後も起こるであろう同種の事件に対する洞察力なども身に付けられる。読み手に誤解を招かせたりするような、あいまいな2次情報に踊らされることも減るだろう。

 今回は、主に「なぜウィキリークスは潰されないのか」「どうやって匿名性を保っているのか」という2つの疑問に対して、裏で使われているインターネットの基本技術を手がかりとして、とことん技術的な視点から迫ってみる。本連載を読んでいる多くの人は、インターネットのユーザーではあるが、ネットワーク関連技術に日常的に触れているエンジニアではないだろう。そうした人でも読めるよう極力平易な用語を使って解説する。

 (日経ビジネスオンライン編集、ITpro 斉藤 栄太郎)

基本:ウィキリークスにアクセスするには「2つのアドレス情報」が必要

 突如として驚くべき情報が出てくることや、運営組織の素顔がほとんど見えないことなどから、ウィキリークスに対して得体の知れない亡霊のようなイメージを持っている人もいるかもしれない。だが、インターネット上に実在するデジタルデータである以上、間違いなく実体としての「アクセス先」が存在し、それは「物理的な配線や通信回線」でインターネットとつながっており、そこに到達するための「アドレス情報」が存在する。

 いくつかの理由により、それらが見えにくくなっているだけだ。
 ウィキリークスの実体に迫るうえで、まずは、最も基本となる情報である「アドレス情報」について知っておこう。ウィキリークスに限らず、インターネットのサイトやサービスにアクセスする場合、「IPアドレス」(参照)と「ドメイン名」という2つのアドレス情報が必要となる(図1)。

図1 目的のサイトにアクセスするには、IPアドレスとドメイン名の2つのアドレス情報が必要
画像のクリックで拡大表示

 IPアドレスは、大ざっぱに例えると「緯度と経度」に相当するアドレス情報といえる。緯度と経度を使うと、地球上の任意の場所を一意(ユニーク)に指定できる。同様に、インターネット上にあるすべての端末(「端末」にはパソコンやiPhone/iPad/Android端末などのスマートフォン、サーバー、ルーターなどの通信機器が含まれる)には、ユニークなアドレス情報としてIPアドレスが割り当てられている。自分と通信相手の端末は、それぞれ異なるIPアドレスを使って通信する。

 IPアドレスの実体は、0と1からなる「ビット」が32桁並んだ「数値」である。例えば「11000000101010000000000000000001」のように、32桁(「32ビット」と表現する)もの数値を読み書きするのは人間向きではない。そこで、通常は8ビット(8桁)ずつピリオドで区切って10進数で表記する。前述のアドレスなら「192.168.0.1」という具合である。

 32ビットという数値は、2の32乗であり、計算すると「42億9496万7296」になる。実際には、予約されているアドレスや無駄になっているアドレスなどもあるため、全部のアドレスが使われているわけではないが、ざっと40億個前後のIPアドレスがインターネットに直接接続している端末にそれぞれ割り当てられているとここではイメージしておこう。

 そのうちのどれか(注:1つとは限らない)のIPアドレスがウィキリークスのサーバーへアクセスするためのアドレスとして使われているわけだ。

 もう1つのアドレス情報であるドメイン名については、ほとんどの人が日常的に目にしていてご存知だろう。「www.nikkeibp.co.jp」のように、インターネット上にある端末やサービス、情報資源などを“人間にとって分かりやすい名前”として一意に識別するためのアドレス情報である。

 「http://」から始まるWebサイトのアドレス(URL:Uniform Resource Locator)以外に、メールアドレス(@より後ろの部分)など様々なサービスで使われている。

 具体的に、Windowsパソコンからウィキリークスのオリジナルのドメイン名である「wikileaks.org」を調べてみると、「64.64.12.170」というIPアドレスが返ってくることが分かる(写真1)。

写真1 パソコンでwikileaks.orgのIPアドレスを調べると「64.64.12.170」というIPアドレスが返ってくる pingコマンドやnslookupというネットワークコマンドを使うと簡単に調べられる
画像のクリックで拡大表示

 後で説明するように、これがウィキリークスのサイトそのもののIPアドレスとは限らないが、少なくともwikileaks.orgにアクセスする際には、あて先として最初にこの64.64.12.170というIPアドレスとの通信が行われる。

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