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技術記者が解説する「ウィキリークスを潰せない理由」(後編)

ウィキリークス事件で知っておきたい「基礎知識」

  • 斉藤 栄太郎

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2011年1月18日(火)

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 例えば「ウィキリークスではどんな技術が使われているのか」や「ウィキリークスを潰したい人が山ほどいるのに、潰れないのはなぜか」、「告発者の匿名性をどうやって守っているのか」などについても知りたいと思っている人は少なからずいるはずだ。

 残念ながら、そうした技術面にフォーカスを当てた解説記事は日本国内ではほとんど見かけない。

 ウィキリークスという間違いなく歴史に名を残すインターネットの“サービス”が、いったいどんな技術や仕組みに支えられているのか。なぜ米国政府などによって潰されないのか---。基本となる技術をしっかり押さえておけば、ウィキリークスについてのこうした疑問が解消できるだけでなく、おそらく今後も起こるであろう同種の事件に対する洞察力なども身に付けられる。読み手に誤解を招かせたりするような、あいまいな2次情報に踊らされることも減るだろう。

 今回は、主に「なぜウィキリークスは潰されないのか」「どうやって匿名性を保っているのか」という2つの疑問に対して、裏で使われているインターネットの基本技術を手がかりとして、とことん技術的な視点から迫ってみる。

 ウィキリークスがインターネット上に実在するデジタルデータである以上、間違いなく実体としての「アクセス先」が存在し、それは「物理的な配線や通信回線」でインターネットとつながっており、そこに到達するための「アドレス情報」が存在する。いくつかの理由により、それらが見えにくくなっているだけ。そこでウィキリークスの実体に迫るうえで、まずは、最も基本となる情報である「アドレス情報」について探った。

 前編では、IPアドレスから逆探知して潰すことは可能なのか、について解説した。

 後編では もう1つの情報であるドメイン名から、ウィキリークスを追い詰めてみよう。

 「ドメイン名を使わせないように仕向けられれば、実質的にウィキリークスの息の根を止めることは可能かだ---。

 (日経ビジネスオンライン編集、ITpro 斉藤 栄太郎)

 IPアドレスと同様に、ドメイン名についてもインターネット全体で決して重複が起こらないようきちんと管理されている。IANAの上位組織に当たるICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers、アイキャン)という組織がドメイン名全体を統括しており、ICANNとの契約に基づいて、例えば「.com」や「.jp」など個々のドメイン名(トップレベルドメイン:TLD)を管理する「レジストリ」と呼ぶ組織が存在する(図3)。

図3 ドメイン名の管理体系 ICANNという組織がドメイン名全体を統括しており、その下にICANNとの契約に基づいて「.com」や「.jp」などのトップレベルドメインを管理する「レジストリ」と呼ぶ組織がある。
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 レジストリは、ドメイン名を使うために必要なデータベースを管理している組織であり、実際にユーザーに対してドメイン名を販売したり、ユーザーが取得したドメイン名の情報をデータベースに登録したりする作業は、一般にレジストリと契約している別の事業者が行う。この事業者のことを、少々紛らわしい名前だが「レジストラ」と呼ぶ。

 ドメイン名がどのレジストラから登録されたかという情報は「Whois」(フーイズ)というサービスを使って調べればすぐ分かる。調べてみると、ウィキリークスがオリジナルのドメイン名として使っている「wikileaks.org」は、米国のレジストラであるDynadot社を通じて取得していることが分かる(写真5)。Whoisでは、最低限問い合わせを受け付けるレジストラの情報を調べられるほか、うまくいけばドメイン名の契約者名や住所まで検索できる可能性がある。このWhoisがあるおかげで、ドメイン名からの逆探知はIPアドレスよりも簡単である。

写真5 Whoisサービスを使ってwikileaks.orgに関する情報を調べてみた結果 Dynadotという米カリフォルニア州のレジストラを通じて2006年10月に取得したことなどが分かる。ドメイン名の所有者情報は掲載されていない(最近はこのように個人情報保護の観点からレジストラの情報しか載っていないケースがよくある)。
画像のクリックで拡大表示

 ただし、逆探知が可能なことと使用を止められることは別問題である。第三者がドメイン名の使用を差し止めるのは、IPアドレスと同様にかなり難しい。ドメイン名が有名企業の商標権などを明らかに侵害していれば、最近では差し止めることも比較的容易になっているが、ウィキリークス(wikileaks)の場合、そうした商標権問題とは無関係である。

 差し止められるかどうかは、純粋に、「ウィキリークスのような告発サイトを運営するためにそのドメイン名を使わせてよいか」という観点になる。IPアドレスの場合と同様、ウィキリークスの存在そのものが非合法であると世界的に確定していない以上、あらゆるドメイン名の利用を問答無用で差し止めるのは現状不可能だ。

 実際、ウィキリークスのオリジナルのドメイン名であるwikileaks.orgについては、2008年にスイスのJulius Baer銀行による告訴によって米国の地方裁判所によって登録抹消および使用差し止め命令が一時下されたが、その後すぐに命令は撤回されている(ITproの関連記事)。

 また、現在ウィキリークスがメインのドメイン名として使っている「wikileaks.ch」に関しては、スイスのレジストラであるSwitch社が米国やフランスなどから使用停止の圧力を受けているが、「使用を差し止めるのに合理的な理由がない」として要求を突っぱねている(英ガーディアン誌の参考記事)。

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