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沸騰する「ネット世論」にピリピリ

中国共産党が地方政府の“火消し能力”を点数評価し始めた

2011年1月28日(金)

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 中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」を発行する“人民日報社”は、2008年7月に中国国内におけるインターネット上の世情を監視することを目的として、同社の“網絡中心(インターネットセンター)”に“輿情監測室(世情監視室)”<注1>を設立した。同室は2008年6月20日に胡錦濤総書記が人民日報社を視察した際に、「インターネットは既に思想文化情報の集散地と社会世論の増幅器になっており、我々はインターネットが代表する新興メディアの社会的影響力を十分に認識せねばならない」と指摘したことを契機に設立されたものである。同世情監視室の紹介文には、「インターネットは既に中国共産党と政府が国を統治する上で重要な新たな基盤となっている」と書かれていて、インターネット世論は中国社会の世論動向を見極める上で重要な要素となっていることがうかがえる。

<注1>同世情監視室の略称は“人民網輿情監測室(人民ネット世情監視室)。なお、“人民網(人民ネット)”は人民日報のインターネット部門で、人民日報オンラインを指す。

2010年からは四半期ごとに定期的に発表

 さて、2011年1月19日に、その「世情監視室」が2010年第4四半期の“地方応対網絡輿情能力推薦榜(地方政府のネット世論対応能力推薦リスト)”<以下「リスト」>を発表した。このリストは2009年7月24日に「2009年上半期リスト」が発表されたのが最初で、その後は「2009年第3四半期リスト」、「2009年第4四半期」と続き、2010年からは四半期ごとに定期的に発表されているものである。

 このリストは当該時期にインターネット上で世論が沸騰した事件を取り上げて、その事件が発生した地方政府のネット世論に対する対応を分析して、【1】政府の対応、【2】情報透明度、【3】政府の信頼性、【4】動きに対する反応、【5】役人の責任追及、【6】インターネット手法の各項目に評点を付け、最終的な評価を下したものである。評点は【1】~【3】がマイナス10点~10点、【4】~【6】が0~3点となっており、これらの評点を合計した総合評点が20点以上は青色警告(対応が相対的に良好)、10~19.9点は黄色警告(対応をさらに強化)、5~9.99点はオレンジ色警告(対応に明らかな問題がある)、5点以下は赤色警告(対応は妥当性を欠き、重大な欠陥が存在する)という形で対応能力を4段階に分類している。

 上述の「2010年第4四半期リスト」は2010年10月から12月までの3カ月間にインターネット上で世論が沸騰した事件の中から上位10件を取り上げて、地方政府の事件に対する対応能力を評価したものである。この10件を明示してもよいのだが、日本で報道された事件は3件しかないのであまり意味がない。そこで、その概要を述べると次のようになる:

(1)総合評点が20点以上の青色警告となったのは「新疆ウイグル自治区トクソン県の知的障害者奴隷事件」(24.4点)だけだった。残りの9件の内訳は黄色警告が4件、オレンジ警告が3件、赤色警告が2件であった。

(2)日本で報道された事件は、第3位:11月15日に発生した上海の28階建高層マンション火災(17.4点=黄色警告)、第4位:12月23日に北京市が発表した交通渋滞緩和のための新措置(14.6点=黄色警告)<注2>、第9位:10月16日夜に発生した河北大学の構内で発生した酒酔い運転による死傷事故(4.8点=赤色警告)<注3>の3件である。

<注2>北京市は2011年1月1日から小型乗用車の新規登録枠を月2万台までに制限する方針を明らかにした。小型乗用車のナンバープレートの発給を年間24万枚に制限し、毎月抽選を行って当選者の新規登録を認め、ナンバープレートを発給するというものである。

<注3>事故の詳細は2010年11月5日付本リポート『ドラ息子、人を轢いて一言「俺の親父は李剛だ、文句あるか」および11月19日付『【続報】「俺の親父は李剛だ、文句あるか」』参照。

(3)最下位の第10位は、11月19日に湖南省常徳市で発生した事件。自殺した79歳の老婦人の遺骸を公安警察が運び去ったもので、遺骸は3日後の22日に返却されたが、事件の背後には企業破産に絡む経済紛争が存在したことで紛糾した。この事件の総合評点は何とマイナス0.9点で、地元政府の対応能力の無さが露呈した。

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「沸騰する「ネット世論」にピリピリ」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長