• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

フェイスブックはバブルか、それともホンモノか?

決勝リーグに突入した「ソーシャル」ビジネス

2011年1月31日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 英語圏が中心だったSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)のフェイスブックが、日本にも徐々に広がりつつある。同社の創業経緯をもとにした映画「ソーシャル・ネットワーク」が日本でも封切られ、世はすっかり「ソーシャル・ブーム」だ(SNSだけでなく、SNS上で提供されるソーシャル・ゲームやソーシャル・ニュースなども含めたブームを、本稿では「ソーシャル・ブーム」と呼ぶことにする)。

映画「ソーシャル・ネットワーク」が米国で封切られた当日(2010年10月1日)、フェイスブックの従業員たちがバスに乗って、近くの映画館を訪れた。映画館は独占状態で、長蛇の列ができた(写真:海部美知)

 同社は世界中で既に5億人以上の会員を持ち、ネット業界の覇者グーグルを脅かす存在とも言われる。未上場ながら、昨年末から1月14日にかけて、ゴールドマン・サックスとロシアのファンドから合計15億ドル(約1245億円)の資金を調達。フェイスブックの時価総額は500億ドル(約4兆1500億円)に達すると見積もられている(出典はこちら)。

 「大した売り上げもないのにこの評価はバブルだ」と大騒ぎの中、1月に同社が財務内容を一部公開した。これによると、2010年1~9月の売上高が12億ドル(約996億円)、純利益が3億5500万ドル(約294億6500万円)だそうである。

 また、米ネット市場のリサーチ会社イーマーケッター(eMarketer)の推計では、フェイスブックの2010年の広告売り上げは18億6000万ドル(約1543億8000万円)と見られている(出典はこちら)。

 先の公開データと考え合わせると、通年の売上高は恐らく20億ドル(約1660億円)程度だろう。それをベースにすれば時価総額の評価額は年商の25倍になり、常識的には確かに高く見える。しかし、高いか安いかの判断は将来の見通しによるので、意見は分かれるところだ。

 フェイスブックの財務発表は、「2012年に上場の予定」との表明に伴うもので、これに続き、プロ向けSNSのリンクトイン、ネットラジオのパンドラ、ネット共同購買のグルーポンなど、シリコンバレーの著名企業が続々と上場予定を発表している。

 IPO(新規株式公開)市場が冷え込んだここ数年の間、投資家も従業員もじっとガマンしていた反動と、金融危機の後の次の儲け話を待ちかねていた金融業界の事情がかみ合ったせいか、ややバブルの様相を呈し始めている。

 なお、フェイスブックのビジネスやその意義については、フィクションである映画よりも、書籍『フェイスブック 若き天才の野望』(日経BP社)の方が正確に描いている。ブログ(Tech Mom from Silicon Valley)に書評を書いているので、参照していただきたい。

「ネットワーク効果」とソーシャルの「決勝リーグ」

 フェイスブックの株に高値がつくのは、同社が「ソーシャル」分野で覇権を確立したからだ。ネット企業の場合、ユーザーが多ければそれだけ利便性が高まるという「ネットワーク効果」により、トップの位置を確保すれば、後は好循環で自律的にユーザーが増えていく傾向が強い。グーグルやイーベイがその典型である。

 その一方で、フェイスブックの前にトップSNSだったマイスペースは転落しつつある。同社は現在、ルパート・マードックが率いるメディアコングロマリット、ニューズ・コーポレーション傘下にあるが、1月11日に従業員の約半分に当たる500人をレイオフし、身売り先を探している。

 転落の理由はいろいろ語られるが、一度はユーザー数でトップに立ちながら、利益を上げる仕組みにネットワーク効果を組み込むことができなかった。従来の「バナー広告」モデルから抜け切れず、画面にごちゃごちゃとした広告ばかり目立つようになった。ユーザーの使い勝手はむしろ低下し、スパムが蔓延する「スラム」と化してしまったのである。

 これに対して、例えばグーグルの場合は、「ユーザーが検索で投入するデータが増えれば増えるほど、検索広告もより関連性の高いものを表示できる」という効果が組み込まれている。

 ほかにも、フェイスブック以前の「第一次ソーシャル・ブーム」の有名どころが、次々と脱落している。業績悪化の続くヤフーは、傘下のソーシャル・ブックマーク、デリシャスの売却先を探している。ソーシャル・ニュースのディグ(Digg)も従業員の3分の1を削減した。

ソーシャル・ブックマーク:自分のブックマークをネット上に公開し、不特定多数の人と共有することができるサービス。類似のサービスとして日本の「はてなブックマーク」がある。

 ユーザーの離散が加速するとともに、親会社や投資家から「いい加減にしろ。利益が出ないなら、そろそろやめろ」との圧力も高まって、負け組の淘汰がますます進んでいる。

 現在の「ソーシャル・ブーム」は、その昔の第一次ネットバブルのような「猫もしゃくしも」ということではなく、前回のコラムで書いたような「集中」現象が進行した結果、勝ち組となったネット企業にとってのブームなのである。

 それは、「まずは無料で多くの人に使ってもらう」ということで儲けは二の次でやってきた「予選」が終わり、勝ち上がった者が利益を上げて投資家に還元するというルールの「決勝リーグ」に突入したということを意味する。

コメント3

「Tech MomのNew Wave from Silicon Valley」のバックナンバー

一覧

「フェイスブックはバブルか、それともホンモノか?」の著者

海部 美知

海部 美知(かいふ・みち)

エノテック・コンサルティングCEO

ホンダ、NTT、米ベンチャー企業を経て、1998年にエノテック・コンサルティングを設立。米国と日本の通信・IT(情報技術)・新技術に関する調査・戦略提案・提携斡旋などを手がける。シリコンバレー在住。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック