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聞くと見るのとでは大違いだが、聞いても見ても分からない

やってみて初めて分かるのが中国現地法人の経営

2011年2月9日(水)

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 「金さん、私は理念重視の経営を中国で展開したいのです」。先日初めてお会いしたベンチャー企業の創業者である若い社長は私に熱く、そして力強く語り始めました。

 その会社は日本で大成功を収めた会社です。しかし、日本のマーケットが飽和状態にあることや、日本における経営が安定期に入っていることに危機感を感じています。今後は中国を含めたアジアへの展開をさらなる発展のバネとするため、進出の相談を兼ねて弊社を訪ねて来られました。

 その会社は一時期、売り上げが著しく下がった時期がありました。社長は「自分たちが目指してきたことは何なのか」「何のために頑張ってきたのか」を経営陣で徹底的に議論したそうです。その結果、「創業時に掲げた理念をもう1度、見つめ直そう」ということになり、全社員にも呼びかけ、理想の会社を一から作り直し始めました。こだわったのは理念と人事。そして業績を浮上させることに成功しました。

 社長は私に対し、創業から現在に至るまでの歴史を細かく丁寧に説明してくれました。そんな社長の姿はとても頼もしく、私は「絶対、中国でも成功して欲しい」と強く思いました。

 私は中国に来て15年になります。ヒューマンリソースの仕事に携わった経験も20年を超えました。私は経験を基に、他社の事例をを紹介したり日本企業が失敗しないためにはどうすればいいのか、日本企業が陥りやすい過ち、日本企業はどうすれば中国で勝てるのか、などを社長に語り始めていました。

目的を明確にしなければ軸がぶれる

 中国関連の情報は、書籍やメディアを通じて提供されているものがすべてではありません。視察で来られた方がよく口にする言葉は、「中国のイメージが変わった」「想像していた姿とは違う」です。中には「こんなに都会だとは思いもよらなかった」、逆に「マナーが悪いね」「タクシーのクラクションは何とかならんのか」などと驚かれることも多いです。

 共産主義の国でありながら物乞いがいる。その横で高級車のフェラーリやポルシェが当たり前のように走っている国なのです。人権問題や報道の自由などで批判にさらされ、急激な発展がさまざまなひずみやゆがみを生んでいますが、確実に変化し、発展していることは紛れもない事実です。

 共産党の一党支配で13億の国民を管理している中国は変化が激しく、特定の地域や事象で物事を判断するのはとても難しい。例えば、上海を見て、これが中国だと思うと間違えます。北京、上海、広州の3大都市だけ比べても随分と異なります。中国は欧州連合(EU)のようだと言う人もいます。大事なのは自社が進出する地域におけるメリットとリスクを自分の目で見て、肌で感じることです。

 ビジネス環境も同じです。政府や官僚の対応は地域によって異なる。人材マーケットも同じです。日系企業の進出が早かった北京や上海では比較的、求める人材が多く、それと比べるとほかの地域では人材の層が薄いと言う人もいます。ただし、それが正しいのかは、その土地に入り込み、自ら情報収集することが大切です。

 事業戦略についても同じことが言えます。安価な労働力を求めて中国に進出を決意した企業が人件費の急騰に悲鳴を上げています。生産基地から巨大市場へと変貌している現在の中国をどう攻めるのかを的確に判断しなければなりません。

 中国に何をしに来たのか、目的を明確にしなければ軸がぶれます。大都市から離れて安価な労働力で生産性を上げるのか、富裕層を狙った販売を強化するのか、次に拡大すると予想される市場に投資するのか。中国を1つのマーケットととらえると戦略を描けないことが多々あります。

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