「日本と韓国の交差点」

スマートフォンの普及で、韓国人の生活は「TGIF」に変わった

「Twitterをしない特別な理由があるのか?」

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2011年2月2日(水)

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 2010年に続いて2011年も、韓国を象徴するキーワードは「スマート」になりそうだ。サムスン経済研究所が実施した、「2011年にヒットしそうな商品」のアンケート調査では、圧倒的な支持で「スマートフォン」が選ばれた。続いて「タブレットPC」、「ソーシャルメディア」もトップ10入りした。この調査には、韓国のネットユーザー1万人以上が参加した。

 子供に「お父さん早く帰って来て!」と言われ、うれしくてお土産まで買って帰ったら、子供が待っていたのはお父さんではなく、お父さんのスマートフォンだった。

 こんな、落ち込むお父さんたちの話をあちこちで聞くようになった。スマートフォンは世代を超えて韓国人を魅了している。

 2009年11月にiPhoneが発売されたのを皮切りに、サムスン電子のGalaxyS、LG電子のOptimusなどが次々と登場した。市場は激しい競争となっている。

 韓国のスマートフォン加入者は、携帯電話キャリアの予想の3倍を超えるスピードで伸びている。キャリア各社は、2010年の加入者数を200万台前後と予想していた。放送通信委員会によると、スマートフォンユーザーが携帯電話加入者に占める割合は、2010年末には15%となった。これが、2011年の1年間に販売される携帯電話では60%に達する見込みだ。この結果、2011年末には、国民3人に1人はスマートフォンを使うことになる。

 韓国のモバイルインターネット利用率は2007年から年平均19%ずつ伸びていたが、2009年から2010年にかけては2倍近い35%も増えた(放送通信委員会)。

 それもそのはず。日本と違って韓国には携帯電話向けの勝手サイト(非公式サイトのこと。インターネットでは、URLを入力するだけでサイトを見られるのが当たり前だが、韓国ではキャリアが契約している公式サイトしか、携帯電話から閲覧することはできなかった)がなかったので、携帯電話からウェブサイトに自由にアクセスすること自体、韓国人にとっては新世界なのだ。スマートフォンの登場でこうした使い方が可能になった。

 スマートフォンを使えば料金の高い3Gデータ通信ではなく、無料のWifiでネットにアクセスできる点もうれしい。韓国ではパケット使い放題サービスが2010年8月に始まったが、それでも料金が高い。既にWifiスポットが充実しているので、パケット定額制といっても日本ほどのインパクトはなかった。

パソコンからスマートフォンへ
韓国系ポータルから世界標準ソーシャルメディアへ

 韓国人の生活はスマートフォンの影響で大きく変わった。「YahooやGoogleは使いづらい」としてNAVER、DAUM、NATE、Cyworldといった韓国企業が提供するサイトばかり好んでいたユーザーたちが、スマートフォンをきかっけにグローバルサービスであるTwitter、Google、Facebookに目を向け始めた。

 この変化を機に、韓国では、2010年以降の韓国人の生活を「TGIF」と表現するようになった。Twitter+Google+iPhone+Facebookの略で、韓国人のネット利用形態を象徴する言葉として使われている。本来は「Thanks God It’s Friday」の略で、週休2日制を象徴する言葉だが、これをもじったものだ。

 韓国で一番人気の検索ポータルサイトはNAVERで、検索では8割近いシェアを持っている。(韓国Metrixの調査、以下同)その次にDAUM、NATEが続き、Googleはいまだに1%前後シェアしかない。ところが、スマートフォンから利用する検索の場合は、NAVERのシェアが5割程度に落ち込み、その代わりGoogleが2割近くを占める。

 韓国では2000年ごろからソーシャルメディアの利用が活発になった。世界のどこよりも早く同窓会サイトが人気を集め、アバターの着せ替えチャット、簡単に個人ホームページをつくって友達とつながれるMINI HOMPYなどが人気を博した。それが今は、スマートフォンから利用しやすいメディアに人がシフトしている。韓国のソーシャルメディアもケータイやスマートフォンからアクセスできるのだが使い方が不便。ケータイやスマートフォンからは表示できないメニューもあるからだ。

 韓国の代表的なソーシャルメディアであるCyworldのページビューは2010年に33%ほど減少した。いっぽう、Facebookユーザーは3125%増加、Twitterのユーザーは1833%増加している。2010年の1月と12月のTweetの数を比較すると3400%も増加していた。

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著者プロフィール

趙 章恩(チョウ・チャンウン)

 研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。現在は東京大学社会情報学修士。ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。著書に「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)がある。
 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送っています。日韓両国で生活した経験を生かし、日韓の社会事情を比較解説する講師として、また韓国のさまざまな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです」。
 「韓国はいつも活気に溢れ、競争が激しい社会。なので変化も速く、2〜3カ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をすると『なんだかきつそうな国〜』と思われがちですが、世話好きな人が多い。電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多いのです。マンションに住んでいても、おいしいものが手に入れば『おすそ分けするのが当たり前』の人情の国です。みなさん、遊びに来てください!」。



このコラムについて

日本と韓国の交差点

 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?

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