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経済危機、解決に向けムーブメント起こせ!

「フォールト・ラインズ」著者、ラグラム・ラジャン教授に聞く

2011年2月9日(水)

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 英フィナンシャル・タイムズと米ゴールドマン・サックスが選んだ2010年のビジネス書でトップに輝いた「フォールト・ラインズ」の日本語訳が、先月、新潮社から発売された(『フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く』)。

 著者であるシカゴ大学のラグラム・ラジャン教授は、米国は中所得者層における不平等の拡大という深刻な問題を抱えており、それを解消するために政府が意図的に住宅ローンを拡大する政策を推進。FRB(連邦準備理事会)もそれを間接支援したことが金融危機の背景にある、と指摘して論争を巻き起こした。

 さらに、国際不均衡を解決するには、世界規模で民主主義をより良く機能させ、市民の中から政治家・国家を突き動かすムーブメントを起こす以外に方法がないと説く。国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストだったラジャン教授に、現在の世界経済の状況分析から、その処方箋まで聞いた。

(聞き手は大竹剛=日経ビジネスロンドン支局)

―― 現在の世界経済の状況をどう見るか。

シカゴ大学のラグラム・ラジャン教授

 ラジャン 危機前の状況に戻っているか、戻ろうとしているように見える。米国は景気後退から抜け出すために、多額の財政出動を行い財政赤字を長引かせた。さらに、量的緩和を実施しており、かなりのインフレでも起こらない限り、近い将来、金利を引き上げる可能性は極めて低い。一方、中国は人民元の上昇を抑えているし、外貨準備も2.8兆ドルと巨額だ。つまり、米中の両サイドで、金融危機以前の状況に戻りつつあるかのようだ。

 これはあまり良い状況ではない。米国ではこれまで、政府が家計の肩代わりをしてきたが、財政の悪化で中期的にその余地が残されているのか疑問だ。皆、こうした問題に対処するのは景気後退を乗り越えてからと言うが、景気後退の時こそ問題に取り組む良い機会だ。もし、これらの問題に対処せしないまま景気が回復したら、その時にはもう、問題を解決しようという意欲は失われてしまう。

保護主義より過去の成長モデルへの執着が問題

 深いフォールト・ラインズ(大断層)は依然として存在している。米国の問題である、不平等や不十分なセーフティーネット、景気刺激への願望という問題は、まだ残っている。一方の中国は、(輸出頼みという)古い成長パターンから脱却したがらないことに問題である。おそらく、指導体制が変わるまでは、あまり大きな動きは起きないだろう。

 もちろん、米・中以外の国も改革が必要だ。例えば、日本は成長を取り戻す道を見つけ出す必要がある。景気後退から多少ではあるがうまいこと抜け出してきたが、それには輸出が大きな役割を果たしてきた。日本がいかに内需主導で成長を取り戻すかは、今後、極めて重要な課題になってくる。

―― 米国も中国も自国経済優先で保護主義的になっているという見方もある。

 自国経済を保護しているというよりも、むしろ米中ともに、過去に成功した経済成長のモデルに固執することが短期的には優先されるべきだと認識している。例えば、米国ではかつて、景気刺激策、特に金融政策を通じた刺激策は成長を維持する上で上手く機能してきたから、その手法を今回も再び利用している。確かに、景気刺激策は米国内の消費を増やし、それは米国にとっても世界にとっても都合のよいものだった。問題なのは、それが今回も有効かどうかということだ。

 同様に中国にとって、輸出を再び増やすことは戦略上、重要な一部分だ。(保護主義というように)他国を犠牲にして競争に勝とうとしているわけではない。彼ら自身が成長に必要なことだと考えているから、それを実行しているに過ぎない。

オバマにも胡錦濤にも不均衡を解消する力はなし

―― 1月の米中首脳会議は、米中間の不均衡を解消するための糸口を見い出せなかった。

 こうした会合は、大きな合意は得られなくても、定期的にお互いが会い、対話を続けることに意味がある。米中の首脳が大きな合意に達するとは思えない。もちろん、形式的な合意はできるだろうが、胡錦濤国家主席が米国を訪問し、「私たちは成長戦略を変更することにした。それを確かめる方法もある」と言うことはあり得ない。バラク・オバマ大統領も胡国家主席に会って、「私たちは財政赤字を半減することを決めた」とは言えない。

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「経済危機、解決に向けムーブメント起こせ!」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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