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カルフール女性店員の復職かけた戦い

理不尽な「派遣切り」の横行に、声を上げ始めた労働者

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2011年2月15日(火)

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家楽福“隠蔽用工”探秘
「新世紀」記者 蘭方

今週の読みどころ(ミニ解説)

 12年ほど前のこと、中国南部の広東省に進出していた日本の大手電子機器メーカーの工場長に「中国の魅力は何ですか」と質問したところ、意外な答えが返ってきました。「2週間後に2000人採用すると言ったら、本当に集まることだ」というのです。人件費の安さだけでなく、中国の労働力の豊富さと雇用および解雇の容易さを活用し、生産の繁閑に合わせて従業員の数を柔軟に調節する。要するに人件費を固定費ではなく変動費にできることこそ、中国におけるコストダウンの極意なのだと看破していました。

 しかし時は流れ、中国の労働環境は大きく変わりました。無尽蔵と思われていた労働力は4~5年前から恒常的に不足し始め、賃金は大幅に上昇し、労働者の権利保護も強化されつつあります。今週は財新メディアの「新世紀」誌から、外資系大手スーパーのカルフールで「派遣切り」に遭った元女性店員が、働く権利の保護を求めて訴訟を起こした話題を取り上げました。舞台は流通業ですが、記事が報じている事実や問題提起はそのまま製造業にも当てはまります。

 中国の賃金上昇や労働者の権利保護の強化に関して、日本のメディアは企業側の視点からネガティブに報じる例がほとんどです。しかし本当にそうでしょうか。人材教育を重視し、従業員の生産性を高めることで賃金上昇を吸収するのは、もともと日本企業のお家芸であり強みだったはず。中国でもそのための前提がようやく整ってきたと、あえて前向きにとらえる発想の転換が必要だと思います。

(岩村 宏水=ジャーナリスト)

 妊娠をきっかけに外資系大手スーパー、カルフールの店員の仕事を失う経験がなかったら、盛玉は単純だと思い込んでいた自分の雇用契約が実は複雑怪奇なものだったことに気付かなかっただろう。

 盛玉は山東省の農村出身で35歳。事の始まりは2009年5月1日だった。この日の終業時、妊娠6ヶ月だった彼女はカルフール北京方荘店の課長からこう告げられた。「明日から来なくていい。詳しいことは“会社”が決める」。

 課長のいう“会社”とはカルフールではない。盛玉を売り場に派遣していた日用化学メーカー、威莱日用品のことだ。彼女は07年8月末、面接に合格して威莱の販売員に採用された。そして、08年3月からカルフールに送り込まれ、長期派遣店員として働いていた。

「中絶するか退職するかのどちらかだ」

 その後、盛玉は妊娠した。お腹のふくらみがだんだん目立ってきたが、課長の宣告を受けた時、彼女は少なくともあと1カ月は働けると思っていた。ところが“会社”は、盛玉を雇い続ける気はまったく無かった。「カルフールが君をいらないと言っている以上、妊娠中の君をほかのどこに派遣できるというんだ」。威莱の人事担当者はそう言い放ち、「中絶するか退職するかのどちらかだ」と彼女に迫った。そしてこう付け加えた。「出産した後、またうちで働けばいいじゃないか」。

 人事担当者は“親切”のつもりで言ったのかもしれないが、これは盛玉の望みとはほど遠かった。なぜなら、妊娠を理由にした解雇が法律で禁じられていることを知っていたからだ。そこで彼女は、法律に従って産休と育児期間の福利厚生を適用するか、解雇するのであれば相応の補償金を払うことを求めて裁判を起こした。

 権利を守るための長い戦いが始まった。子供はもう1歳になったが、盛玉は裁判の勝敗にはこだわっていないという。「自分が望んでいるのは、スーパーの女性店員が置かれた現状を多くの人に知ってもらい、仲間たちがこれ以上不公平な待遇を受けないようにすることだけです」。

コメント3件コメント/レビュー

中国に暮らして驚いたことの一つに,以外や階級社会だったとことがあります。金持ちは貧乏人を、都会人は田舎者を、社会人は学生を軽く見る、はっきり言えば差別する社会でした。それに加え、同じ漢民族でも出身地によってまた偏見を持つという複雑さです。今不利な立場にある人が頑張ることになんの異論もありませんが、日本人が考える以上に込み入った話だということを私たちは知るべきでは。(2011/02/16)

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中国に暮らして驚いたことの一つに,以外や階級社会だったとことがあります。金持ちは貧乏人を、都会人は田舎者を、社会人は学生を軽く見る、はっきり言えば差別する社会でした。それに加え、同じ漢民族でも出身地によってまた偏見を持つという複雑さです。今不利な立場にある人が頑張ることになんの異論もありませんが、日本人が考える以上に込み入った話だということを私たちは知るべきでは。(2011/02/16)

とても、社会主義国の話とは思えませんね。20世紀初頭のイギリスみたいです。(2011/02/15)

労働者と農民の国、共産主義国である中華人民共和国で、労働格差問題が拡大するという何とも皮肉な構造。彼女達の声の背景には、同一労働同一待遇という国家の基本姿勢がいつの間にか変質していた事への「怒り」があることを忘れてはいけないと思います。(2011/02/15)

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