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800億ドルの投資が計画される水インフラ

【第1回】出遅れた日本は水処理技術で逆転なるか?

  • 時吉 康範,園田 展人

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2011年2月18日(金)

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 インドの人口は現在約12億人であり、2025年には中国を抜いて世界一の人口となると予測されている。高い人口増加率に加え、年間約8~9%と2桁に迫る高いGDP(国内総生産)成長率を維持している。一方で、人口増加や経済成長を支える水、エネルギーなどのインフラ不足が深刻化している。インドが今後とも持続的な経済成長を遂げるためには、エネルギー供給源への投資と環境問題への対応の両立が不可欠である。今回は環境問題の中からインドの水環境の現状と今後の行方を考え、日本企業にとってのビジネスチャンスを探っていく。

【現地ルポ編】

 インド滞在時に飲み水だけでなく、歯を磨く時もミネラルウォーターを使うのは半ば常識となっている。水には相当注意していた私(園田)だったが、地方の安価なホテルに滞在した時に、お腹を壊した。まさか歯を磨いた時に、ついうっかり使った洗面所の少量の水が、その原因だったとは夢にも思わなかった。それ以来、たとえ高級ホテルであろうと、歯磨きの際には水道水は絶対に使わないようにしている。

 このように、少々の滞在でも実感できるほど、インドの水事情は悪い。大都市から離れた郊外に出ると、穴の開いた水道管から出る水を、一生懸命バケツに入れて運ぶ地元の人たちをよく見かける。また水道インフラが未整備の地域では、トレーラーで水が配給される。トレーラーが来ると、地元の人たちがバケツやタンクを持って集まってくる。こちらも農村でよく見られる光景だ。

出遅れた日本が挽回するチャンス

 本稿の執筆に先立ち、私(園田)はデリー、ムンバイを中心に現地企業にヒアリング調査を行った。訪問したどの企業も、出国直前にお願いしたアポイントメントにも関わらず、我々のフィージビリティ・スタディに興味を持ち、熱心に話を聞いてくれた。

 中でもムンバイに海外事業の拠点を置くION EXCHANGEは最も印象に残った企業だ。彼らはムンバイの空港からオフィスまでは遠いという理由で、わざわざ私を空港まで出迎えてくれた。確かにムンバイの空港から中心地までは、距離もさることながら、ラッシュ時はひどい渋滞で遅々として自動車が進まない。結局、オフィス到着まで2時間もかかってしまった。私が面会した海外事業担当者も、この渋滞のせいで何度も飛行機に乗り遅れたと、冗談交じりに言っていた。到着後、先方の事業内容を紹介してもらい、私の方からは技術を中心に日本企業の現状の取組みについて紹介した。ミーティングの後に、オフィスやラボの見学までさせてくれた。

 私が訪ねた現地企業からの日本企業へのコメントを集約すると、「日本企業の技術は卓越している(上下水道の遠隔監視システムや下水処理のメンブレンバイオリアクターなど)」「日本企業には、素材ではなくシステム(装置)を持ってきて欲しい」「日本企業には、現地価格に合わせたコストダウンを期待する」などであった。

 インドでは、水メジャーと呼ばれる欧州企業やシンガポールや韓国などの新興国企業に比べ、日本企業のプレゼンスは低いと言われている。だが、日本の技術に対する期待は依然として高いことが伺える。

 また、デリーのTERI(The Energy and Resources Institute)で面会した研究者たちの口から聞かれたのは、「日本が1960年代に経済発展を成し遂げ、70年代に入って公害問題や都市への人口過密問題を様々な施策によって克服し、持続的な成長を遂げたことは尊敬に値する」という声であった。

 日本がその成長過程で得た優位性の1つに省水化技術がある。各国のGDPと水の取水量の関係をプロットしてみると(図表:実質GDPと水の取水量の関係)、GDPが高くなり暮らしが豊かになると、人はより多くの水を使うことがデータから見て取れる。中国、インド、ロシアがその典型例である。

 しかし、日本の場合、GDPが非常に高い一方で、水の取水量、つまり供給量は非常に少ない。これは日本が、高い技術力によって、工業用水の8割を再利用しており、上水道の漏水率は1割以下に抑えていることによるものだ。

「協働」開発で参入すべき

 日本企業の中には現地企業との協業を模索して断念した企業もあると言う。日本企業にとって、現在の事業形態や製品のままで彼らのニーズに正面から応えることが極めて困難に映ることは容易に想像できる。

 現地企業のコメントを鑑みると、日本企業は具体的なプロジェクトを通じて、垂直統合型「協働」開発(Vertical Collaborative Innovation)を推し進めるべきである。ここで言う垂直統合型「協働」開発とは、日本企業の技術や工程管理等のノウハウと、現地企業のローカルナレッジをすり合わせ、インド市場のニーズに合致した製品とサプライチェーンを開発するものである。

コメント1件コメント/レビュー

 インドは水が悪いとは聞いていましたが、ホテルの水でしかも歯磨きに使った最小限度の分量でも体調を崩すとは吃驚。しかも、無収水率が約40~50%とは、改善の虫の日本人が見たら、思わずボランティアで手を差し伸べたくなる水準ですね…。 衛生水準の向上と漏水率の低下に是非日本の水道技術を役立てて欲しいものですし、領土問題という利害の対立しないインドとの交易を深めることで、中国集中投資一辺倒に対するリスク軽減にもつながるとともに、かつ中国への牽制にもなることから、インドとの貿易拡大は中長期的な観点からもっと拡大していっても良いのではないかと考えます。(2011/02/19)

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 インドは水が悪いとは聞いていましたが、ホテルの水でしかも歯磨きに使った最小限度の分量でも体調を崩すとは吃驚。しかも、無収水率が約40~50%とは、改善の虫の日本人が見たら、思わずボランティアで手を差し伸べたくなる水準ですね…。 衛生水準の向上と漏水率の低下に是非日本の水道技術を役立てて欲しいものですし、領土問題という利害の対立しないインドとの交易を深めることで、中国集中投資一辺倒に対するリスク軽減にもつながるとともに、かつ中国への牽制にもなることから、インドとの貿易拡大は中長期的な観点からもっと拡大していっても良いのではないかと考えます。(2011/02/19)

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