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価格高騰ゴーストタウンは死なず

政府の不動産価格抑制策、効果は一時的だろう

2011年2月23日(水)

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 昨年、日本人を含む4人の友人が投機用として北京に保有していたマンションを手放すことに成功した。築15~20年くらいの物件で、排水管はぼろぼろ、室内の壁にひびは入っているわ、暖器(暖房)は効かないわ、床にひずみは出るわと、建築物自体の資産価値はゼロに近いと思われていた。それでも最悪の手抜き建築と言われた2008年の五輪前の建築ラッシュ時の建物ほどには構造的に欠陥がないこと、五環路の内側という立地の良さも手伝い、だいたい買値の3~4倍くらいで売り抜けることができたそうだ。

 もちろん、仲介業者が2割の仲介料を取ったとか、なかなか代金を振り込んでくれないので大げんかしたとか、代金として支払われた人民元をなかなか日本に持ち出せないとか、いろいろ問題はあったのだが、“姉歯マンション”以下の安普請物件にこんな値段がつくこと自体、日本では考えられないのだから友人としては喜ばしい。私も個人的には外国人が今、不動産を手放すのは好判断だったと思う。

 というのも、国務院弁公室(日本の内閣府に相当する機関)は昨年の「新国10条」と呼ばれた不動産価格抑制策に続き、今年1月26日に俗に言う「新国8条」、つまり「都市部の不動産価格の早過ぎる上昇を抑制する通知」を行ったのだ。今、この通知を受けて、各都市で次々、不動産売買におけるガイドラインが出されている。

 北京市では北京戸籍所有者か5年以上の北京市への社会保険費あるいは住民税納税証明書がないと、2軒目の住宅が買えないなど厳しい購入制限を含む15項目の規定が設けられた。この調子で転売所得による課税や購入制限などが厳格化されていき、不動産売買のルールが複雑化していくと、売りたくても売れない時期がくるのではないか。私は一昨年あたりから、こんな不健全な市場からは早々に手を引いた方が賢い、と友人たちに言っていた。

「低中所得者向け住宅を1000万棟建設する」

 ところで今回の政策によって、中国の不動産価格は本当に抑制されるのだろうか、それとも価格は上昇し続けてバブルはますます膨らむのだろうか、あるいは弾けるのか。

 「新国8条」を簡単に説明しよう。

[1]各地方政府の責任で不動産価格抑制目標を3月までに示す。

[2]いわゆる保障性住宅(低中所得者向け住宅)を新築、改築を含め2011年度中に全国で1000万棟建設する。

[3]住宅転売、特に購入から5年以内の転売による所得に対する税徴収を強化する。

[4]2軒目の住宅購入に際しては価格の6割以上を頭金とし、ローンの基準金利を1.1倍以上とする。

[5]各地方政府は住宅用に譲渡する土地の7割以上を保障性住宅に向けること。商品住宅(投機用)を過去2年の平均供給量より少なくすること。開発企業の審査を厳しくし違法な土地使用権の転売を厳格に取り締まるなど、宅地用土地管理を厳格にする。

[6]直轄市など不動産価格上昇が早すぎる都市は一定期間の購入制限を行うこと。その都市の戸籍や納税証明書がない人間に対する住宅販売を一定期間制限するなどの措置を2月中旬までに講じる。

[7]地方政府は住宅保障や住宅価格の安定について監督や調査を強化し、その問責制度を確立する。

[8]報道機関は不動産価格の安定と住宅保障に向けた当局の取り組みをよく宣伝し、国民の国情を理解した理性的な消費を導き、市場の安定と健康的発展、住宅保障システムの建設のための世論誘導を行う。無責任な予測報道、誤った予測を導く論評、嘘の情報の拡散を防止する。

――以上の8項目が通知された。

 厳しい購入制限に、転売における税金徴収の厳格化、住宅ローン審査の厳格化。さらに国8条は直接触れていなかったが、上海市や重慶市で、税率はかなり低いものの中国における初めての固定資産税(不動産税)が試験的に導入されることになった。

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「価格高騰ゴーストタウンは死なず」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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