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中国で民主化を目指すと、彼は一生を棒に振る

2011年2月24日(木)

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 引き続き、「中国民主化への道」という小さくないテーマを読者のみなさんとともに考えていきたいと思う。執筆しながら本連載の前半戦における山場になるような気がしてきた。

 第1回コラムで「2011年の中国は歴史のターニングポイントに立つ」を扱った。2008~2010年に、北京五輪、軍事パレードを含んだ建国60周年イベント、上海万博、広州アジア大会など、ナショナルイベントが集中した。中国政府は、国民に対する上からのコントロールを強化した。情報統制も含めて。

 共産党当局が、民主化を求める声・動きをこれまで以上に抑圧している、という継続的事実を紹介させていただいた。中国在住の中国人として初めてノーベル平和賞を獲得した北京大学の先輩・劉暁波氏は、民間からの「中国民主化の星」となり得た人物であり、サッカーの試合に例えれば、センターフォワードという存在であった。しかしながら、中国国内では、それほどの反響はなく、むしろ批判的に取り扱われた、という現実だけが浮き彫りになった。

 前回コラム「もう一度、天安門事件が起きたら中国はどうなる?」において、温家宝首相も、国内では、官民問わず、それほど重宝されなかった、という最新の事実を紹介させていただいた。同首相は、民主化に関する発言を連発。1980年代における胡耀邦氏のごとく、官からの「中国民主化の星」になり得るか、と期待されている。

 筆者は、真の意味で「中国民主化の星」となり得るのは、若い世代、特に大学生しかないと考えている。最近、日本でも話題になっている「80後(バーリンホウ)」や、1990年以降に生まれた「90後(ジュウリンホウ)」だ。

 民主化のロードマップ、アジェンダを提供するのは、温家宝首相のような政治家、劉暁波氏のような知識人だろう。ただ、彼らの仕事はあくまでも問題提起にすぎない。つまり、タイミングを見極め、きっかけをつくることだ。プロセスを促進し、結果につなげるためには、大衆からの支持・呼応(ボトムアップ)がなければ、民主化は進まない。

 その意味で、「天安門事件」は、国内経済、国際情勢などあらゆる要素を加味してみても、タイミング、きっかけ共に絶妙だったと言える。1989年の春夏が交わるころ、学生が主力となって、全国規模にまで展開した民主化運動だ。

 にもかかわらず、民主化は達成されなかった。これが結果である。筆者がここで読者のみなさんと共有したいのは、「下からの民主化」――中国共産党が能動的・主体的に推し進めるのではなく、時間とエネルギーが有り余っている大学生を中心に、大衆が共産党に対抗する形で実施されるもの――は、極めて難しいということである

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「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「中国で民主化を目指すと、彼は一生を棒に振る」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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