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番外編:“中国茉莉花革命”は広がるか?

2011年3月4日(金)

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 2011年1月14日、チュニジアの民主化運動であるジャスミン革命は、23年間独裁体制を続けたベンアリ大統領を辞任に追いやった(ジャスミンはチュニジアの国花)。その成功はエジプトに飛び火し、2月11日、わずか18日間で30年間近く続いたムバラク独裁体制を打倒に追いやっている。歓喜に沸く民衆の熱気は、中東イスラム圏の独裁国家へ次々と伝播し、民主化のうねりは留まるところを知らない。

 注目すべきはそれを可能にしたのが武器ではなく、ネットパワーであったということだ。

 リビアでは現在、武力衝突が見られるものの、インターネットという武器がなかったら、ここまでの広がりを見せることはなかっただろう。それも中国政府がその危険性を予見して早くから封鎖しているフェイスブック、ツィッターあるいはユーチューブなどの力だ。

あまたある中国と中東の共通点

 となると、反射的に連想するのは中国への影響であろう。

 世界一のネット大国であるだけでなく、専制政治が続いている。貧富の格差も大きい。大卒者の就職難という事情も似ている。しかも中国の網民はIT技術を駆使した「翻墙(ファン・チャン)」という行動によって、世界最強のフィルタリング機能を持っている「防火長城」(Great Fire Wall)を乗り越え、禁断のネット情報にアクセスすることもできる。

 日本のメディアや中国事情専門家は、ここぞとばかりに中国民主化への期待を込めた「第2の天安門事件」発生の可能性を予測した。

 しかし、2月20日の「中国茉莉花革命」は不調に終わっている。「茉莉花」はジャスミン、まつりかのこと。同革命は、2月17日に初めてツイッター上で呼び掛けられ、「零八憲章網」や「博訊網」(アメリカにサーバーを持つ中文サイト、網はネットあるいはサイトの意味)などが広報した。

 集合場所として呼び掛けられた中国13都市のうち、天津、成都、ハルビンなどいくつかの都市にはデモ参加者の人影は見られなかった。圧倒的多数の警官によって集合場所が埋められたケースさえある。

 そこで海外における中文網(中国語のサイト)は毎日曜日の午後2時に「中国茉莉花革命」を行なおうと、集合する都市を28まで増やして呼びかけた。しかし2月27日に呼びかけられた「革命」は、1回目よりもさらに参加者が少なく、失敗に終わっている。

 もちろんその背景には中国政府の情報規制と厳しい警備体制があるだろう。中東の民主化運度が始まると、中国共産党(中共)中央政治局は迅速に反応して緊急会議を重ね、ネット検閲の管理強化を指示した。19日までに中国の人権活動家を拘束してもいた。「革命」を起こすとされた日の警備もまた尋常ではなかった。外見からそれと分かる公安警察系列の人数は数千人であったと海外中文サイトは報道している。「便衣」という私服を着ている警官の数を入れれば、数えようがない。次に多かったのは外国メディアの記者だったという。

中国の網民は、今はネットから出ない

 そういった影響は否めないものの、私は、そもそも今の中国で民主化「革命」が成立し政府転覆に民衆が立ち上がることはあり得ないと最初から判断していた。

 確かに2011年1月現在、中国には4.57億に達する網民(ネット市民、ネットユーザー)が居る。日経ビジネスオンラインで2008年から連載した『ネットは“中国式民主主義”を生むか』においても、網民たちが社会正義に燃え、数々の政府の不正や腐敗、あるいは公安の虚偽を暴いて、当事者を死刑に追いやったり法令を変えさせたりしたことを書いてきた。こうした動きは2003年あたりから激化し、網民に自信とパワーをつけさせている。

 しかし私は1949年10月1日に中華人民共和国を誕生させた「革命」を経験している。その後の文化大革命(1966年~76年)や六四天安門事件(1989年)も見てきた。「革命」とは何か、それが起きる時の社会の実態と条件は、一応心得ているつもりだ。従って私には、現在の中国の網民が中東革命の成功に刺激されて、民主革命を起こすためにリアル空間に飛び出すのではないかという、日本をはじめとした西側諸国の「期待」は、少なくとも今のところは裏切られるにちがいないという確信があった。

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「番外編:“中国茉莉花革命”は広がるか?」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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