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親は多額の塾費用を負担、子は“超”長時間勉強で受験戦争へ

“学歴インフレ社会”韓国の教育事情(2)

2011年3月7日(月)

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 韓国の教育の現状シリーズの第2回は「塾通いのための重い教育費負担」を中心に、小中高校生とその親が、子供が大学に入学するまで、時間面と金銭面でどれほど多大な負担を強いられているかについて解説していきます。

 まず教育費の負担を数値で把握するため、可処分所得に占める教育費の割合(以下「教育費比率」とします)を見ましょう。6~19歳の子供が1人いる世帯に限定すると(※1)、ここ20年間で負担が倍以上に増え、2009年は14.3%となりました(図1)。教育費のなかでも、塾など補習教育のための費用は可処分所得の7.9%を占めており、これも一貫して高まっています。

 子供が複数いる世帯の教育費比率を見ると、2009年には子供2人で17.7%、子供3人で20.0%です。また子供がいる世帯全体では16.2%で、うち補習教育のための費用が10.9%を占めています。「韓国の教育費は収入の半分を超えている」という話を聞くことがありますが、このように全体の数字を見るとそれほど多くないことが分かります。

韓国の教育費負担は小学生で日本の5倍、中高生は2倍

 では、教育費の負担を日韓で比較してみるとどうでしょうか。内閣府の「平成17年版国民生活白書」の分析では、子供が1人いる世帯における教育費について、2001~2003年の平均値を算出しています。また消費支出の総額と平均消費性向も出していますので、これら数値から日本の教育費比率が計算できます。

 その結果、6~11歳で1.9%、12~14歳で5.5%、15~17歳で7.7%となります。一方、韓国における2003年の数値を見ると、6~11歳が10.2%、12~14歳が11.6%、15~17歳が14.5%となっており、子供1人にかかる教育費比率は、小学生で5倍、中学生、高校生でも2倍ほど韓国の方が高いと言えます(※2)。また国民生活白書によると、日本の教育費の大半は授業料が占めていますが、韓国では教育費のかなりの部分を補習教育費が占めています。つまり韓国では補習教育を受けるため、教育費負担が高いのです。

 では、韓国では補修教育にどれくらいお金を掛けているのでしょうか。まずは小中高校生の塾通いの費用について、「私教育費調査」の2009年データから見ていきましょう。この調査で把握される補習教育には、塾だけでなく習い事が含まれていますが、ここでは一般教科を学ぶための補習教育に限定します。

 1人あたりの補習教育費を円に換算すると、小学生は17万円、中学生は23万4000円、高校生は17万8000円です(※3)

 これに対応する日本の数字は「子供の学習費調査」から把握できます。韓国の補習教育費には、「家庭教師費等」と「学習塾費」の合計が対応しますが、2008年では小学生が6万6000円、中学生が21万7000円、高校生が9万2000円です(※4)

 このように、中学生は日韓でほぼ同額ですが、韓国では小学生と高校生の1人当たりの補習教育費がかなり高いことが分かります。さらに日韓では所得に差がありますので、金額を単純に比較して見るよりも、韓国の親の負担は日本と比べると大きいことは間違いありません。

 ここまで親の負担を見ましたが、次に子供の負担、どれだけ自由時間を犠牲にして勉強しているかについて見ていきましょう。

朝8時から深夜まで勉強漬けの韓国高校生

 「私教育調査(2009年)」によると、塾で学習(※5)する生徒の比率は、小学生75.5%、中学生70.1%、高校生45.9%です。また塾で学習している生徒が1 週間に費やす時間は、小学生で7時間7分、中学生で10時間52分、高校生で7時間26分です。この数字を見て、大学受験が目前に迫った高校生が中学生と比べて塾で学習する時間が少ないのはなぜかという疑問を持つかもしれません。これは学校で長い時間拘束されているという理由があります。以下で、韓国の高校生活について見てみます。

※1 通常は集計データで比較することが多いが、集計データでは高齢者世帯など子育てとは直接関係ない世帯、子供がいない世帯が含まれるため、教育費の負担が過小に算出される。また子供がいる世帯も、その数によって負担に違いが見られる。そこで同じ条件での比較を行うため、子供が一人いる世帯に限定した。
※2 韓国の「家計動向調査」は、2002年まで都市居住世帯のみ対象としていたため、2003年以前は全国のデータが入手できない。よって韓国は2003年単年の調査のみ用いた。この数字は特別集計による。
※3 「私教育費調査」の数値は特別集計による。以下同じ。
※4 日本の数値は公立校のもの。後述するように韓国の小・中学校は完全に標準化されており、最寄りの学校に通う。つまり日本の公立校と同じと考えられる。よって韓国とは公立校の数字で比較することが妥当である。
※5 ここまでは補修学習との言葉を使ったが、一般教科の補修学習費に塾での学習費が占める割合は62%と大きい。よって補修教育の具体的なイメージを示すため「塾で学習」とした。

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「親は多額の塾費用を負担、子は“超”長時間勉強で受験戦争へ」の著者

高安 雄一

高安 雄一(たかやす・ゆういち)

大東文化大学経済学部教授

1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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