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中国の新経済計画に注目

「国家」ではなく「国民のための社会」に焦点を当てる

2011年3月10日(木)

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 中国の首都が「政治の季節」に入った。毎年3月には、「両会」(全国人民代表大会+中国人民政治協商会議)という、その年の党・政府の政策を占う上で、最も重要な全国会議が開かれる。

 3月5日午前、第11期「中国全国人民代表大会(全人代=国会)」第4回会議が、北京の人民大会堂で開幕した。日本でもお馴染みの温家宝首相が「政府活動報告」を行った。「報告」は国内外のメディアにとって、いや、世界中すべてのチャイナ・ウォッチャーにとって、核心的に重要な情報源である。経済建設を一身に引き受ける中国の首相が、自ら、党・政府の政策目標や具体的なデータを発表するからだ。

 「両会」はまさに、これまでの、今の、そして、これからの中国を理解するうえでの、「情報のオンパレード」なのである。筆者の周りにいる国内外のジャーナリストたち、学者たち、役人たち、文化人たち、学生たちは、口をそろえて言う。「両会を見なければ、首相の政府活動報告を聞かなければ、その年は始まらないよ」。そのくらい大事なのである。

 新華社通信、人民日報、中央電子台(CCTV)など党の機関紙・テレビはもちろん、市場経済のロジックで動いている新聞、雑誌、インターネットメディアなどにも目を通してみる。正直言って、筆者のキャパシティーを超えている。あまりにも情報、データ、コメントが多すぎて、頭が困惑してしまう。どこから捉えていったらいいのか分からない。どのデータが重要で、どのコメントがどうでもいいか、判断は個々人によるしかない。毎年「両会」の期間になると、まるで自分が、観客で埋め尽くされた遊園地のジェットコースターに乗っているような気分になるのである。

政治改革:温首相は演説で触れたが、改革に着手することはない

 2月27日、温家宝首相は、ここ3年間ルーティーン・ミッションになっている、新華網と中国政府網が共同で主催する「両会直前!国民とのネット対話!」に出席した。そこで、「自分の任期はあと2年ある。最後まで職責を全うすることをこの場で誓います。国民の皆さんと手を携え、困難を克服し、私たちの国家が繁栄するように、全力を尽くしたいと思います」と力強く語った。

 その温首相が挑んだ3月5日の「政府活動報告」。9時04分から11時08分。2時間04分。男子マラソン世界記録とほぼ同じだけの時間。全世界が温家宝首相に注目していた。

 2011という年は「第12回5カ年計画」の初年度に当たる(関連記事)。2006~2010年の第11回5カ年計画を振り返り、これから5年間の目標(値)を外に向かって宣告する。温首相は淡々と、党・政府が成し遂げたこと、これから成し遂げようとしていることへの、今の心境を語った。党内の役人や政府系シンクタンクや大学研究機関の専門家らが、知恵を振り絞った結晶を、温首相が代表して伝えた。

 筆者が今年顕著に感じたこと。それは、温首相のトーンだ。温首相は毎年の演説で、党の成果を語る際、慣例となっている拍手を会場からもらうべく、抑揚を成す。今年は、どこか寂しげな、思いつめたようなトーンであった。一方、「我国の経済発展は極めて不協調である」などという自省の念を押し出す際には、しみじみとした、噛み締めるようなトーンに聞こえた。

 筆者に唯一力強く聞こえたのは、温首相が「政治体制改革」に触れた一瞬である。本連載でも触れたように、最近は、政治体制改革を掲げ、政治家としての「最後の賭け」に出ているという議論がある。温家宝首相が、中国国内でずっと棚上げにされてきた問題だ。

 ただし、筆者が聞いていた限り、温首相は「報告」にて、象徴的に言及しただけである。この問題は、彼一人ではどうにも扱えない、どうにもできない、どうにもならない。「アラブ・中東情勢及びチュニジア・ジャスミン革命に刺激を受けて、温家宝が賭けに出る!」などという非現実的な幻想を抱いてはならない。中国という国家の情勢、あるいは体制は、そういうロジックでは動かない。

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「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「中国の新経済計画に注目」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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