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隠された鉛中毒の子供たち

深刻化する重金属汚染の防止を阻むものは何か

2011年3月11日(金)

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 中国ではいまだに「土壌汚染対策法」が立法化されず、国土の重金属汚染は野放し状態で極めて深刻な状況にある。このため、カドミウム汚染によるイタイイタイ病や水銀汚染による水俣病に類する公害病が全国で多発していることは疑いのない事実である。こうした現状を打破するべく、中国は今年からスタートする「第12次5カ年計画」(2011~15年)で重金属汚染の防止と管理に真剣に取り組もうとしている。

 2011年2月21日付の『中国環境報』は、2月18日に北京で中国政府“環境保護部”の『重金属汚染総合防止管理「第12次5カ年計画」企画』(以下『企画』)に関するテレビ会議が開催されたと報じた。この会議に出席した環境保護部部長の周生賢は、積極的かつ粘り強く重金属汚染の防止と管理に取り組み、国民大衆の利益、特に児童の健康を守り、社会の調和と安定を確保しなければならないと述べ、2010年7月に環境保護局が国務院に提出した『企画』が近日中に承認されるだろうと言明した。

連続30件以上も深刻な重金属汚染が発生

 周生賢によれば、『企画』は今年からスタートした「第12次5カ年計画」で最初に決定される特定企画となる予定であり、それは共産党中央ならびに国務院が重金属汚染の防止と管理を極めて重視していることの表れである。『企画』の詳細はいまだ公表されていないが、メディアから得た情報を取りまとめると以下のようになる:

【1】 全国に14の「重金属汚染重点防止管理省区」を設定して汚染の防止・管理を促進する。具体的には、内蒙古自治区、江蘇省、浙江省、江西省、河南省、湖北省、湖南省、広東省、広西チワン族自治区、四川省、雲南省、陝西省、甘粛省、青海省。さらに、全国に138の「重金属汚染重点防止管理区域」(以下「重点区域」)を設定する。

【2】 重金属汚染物質を以下のように2分類し、重点的に防止・管理を行う:
《第1類》鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr)、ヒ素(As)
《第2類》タリウム(Tl)、マンガン(Mn)、ビスマス(Bi)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)など

【3】 2015年までの目標:重点区域では、鉛、水銀、カドミウム、クロム、半金属<注1>のヒ素などの“重点重金属汚染物”の排出量を2007年比で15%削減する。重点区域以外では“重点重金属汚染物”の排出量を2007年の水準以下とする。

<注1> 半金属(Metalloid)は、金属と非金属の中間の物質で、ホウ素、ケイ素などが含まれる。

【4】この目標を達成するために、政府は今後5年間で750億元(約9500億円)を投入して、重金属汚染防止・管理の技術規格や管理規定などに関する研究の推進、全面的な汚染企業の排除、重金属産業の構造改善、重金属汚染防止システムなど監督管理体制の確立などを推進し、重金属汚染を有効的に管理する確固たる基礎を築く。

【5】重金属汚染を重点的に防止・管理する5大業界を下記のように設定し、これら5大業界に属する全国の4452企業を「重金属汚染の重点防止・管理企業」に認定して監視することにより汚染の防止と管理を促進させる:

(1)非鉄金属鉱(含付随鉱)の採鉱・選鉱業、(2)非鉄金属精錬業、(3)鉛を含む蓄電池業、(4)皮革およびその製品の製造業、(5)化学原料および化学製品の製造業

コメント12件コメント/レビュー

チッソや昭和電工は、中国にもあったと言う訳で、或る意味で不思議でもなんでもない。急激な発展はこう言った隠蔽行為とセットで初めて可能になったのでしょうから。むしろ、問題を認識してから、行政がどのように対応するかの一点で中国が日本を乗り越えてくれることに期待したい。(2011/03/14)

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「隠された鉛中毒の子供たち」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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チッソや昭和電工は、中国にもあったと言う訳で、或る意味で不思議でもなんでもない。急激な発展はこう言った隠蔽行為とセットで初めて可能になったのでしょうから。むしろ、問題を認識してから、行政がどのように対応するかの一点で中国が日本を乗り越えてくれることに期待したい。(2011/03/14)

中国は日本の過去の経済発展途上における様々な事象を参考にしていると聞きましたが、こと公害関係だけは目をつぶっているのでしょうか。日本が固定レートを廃して自由にしたため円高で成長が鈍ったことだけはすごく参考にしていて頑として元安を維持しているのにね。(2011/03/12)

 日本は,水俣などの公害を何とか克服したようだが,原因をなかなか明確にできなかった(?)ことによって,加害者と政府の言い逃れを長期にわたって許し,犠牲者を増やした経緯があると思うので,中国国内の悲惨も他人ごとではない.また,現在にも新たな公害は起きているのではないか? それは,多国籍化しつつある企業やマスコミ(特に,中国の資本)による国益に反する行為である.とりわけ,マスコミの「報道しない自由」と「煽ったあげく誤りを訂正しない自由」は始末が悪い.(2011/03/11)

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