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アメリカは本当にイラクから撤退するのか?

ウィキリークスが伝える米国の懸念

2011年3月11日(金)

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 チュニジアで始まった「ジャスミン革命」以来、エジプトにおけるムバラク政権の崩壊、リビア内戦と、中東は大動乱の時代に突入している。

 そんな中で、今も5万人近い米軍が駐留を続けるイラクからの情報が最近極端に少なくなっている。時折自爆テロのニュースが報じられる程度で、アフガン戦争や反政府デモの報道に埋もれて、この国で何が起きているのかを示す情報がほとんど表に出てこなくなっている。

 しかし、米国政府とイラク政府が合意した現行の安全保障協定では、米軍が2011年末までにイラクから全面撤退することが決められており、今年末にかけて中東のど真ん中に大きな力の空白が生まれることになっている。

 ただでさえ不安定化が増している中東において、過去7年間存在した強大な軍事力がなくなるとすれば、地域全体に大きなインパクトを与えるおそれがある。

 イラクの治安機関は国内治安を維持できるのだろうか。イラクが再び宗派抗争の内戦状態に陥ることはないのだろうか。米国はイラクから撤退してもこの国に影響力を保つことができるのだろうか。そもそも本当に米軍はイラクから撤退するのだろうか。

 ウィキリークスが公開した米国務省の機密ファイルには、2009年10月12日にクリストファー・ヒル駐イラク・米大使(当時)が、ワシントンに送った次の公電が含まれていた。

 「イラクで現在生まれつつある新たな政治的・経済的な環境では、さまざまな国々が自国の政治的な利益を増大させるために、商業的な関与をますます強めています。イラク政府も数多くの国々と非常に大がかりな商業的な対話を進めており、予算の制約があるにもかかわらず、資材や物、それにサービスに関する大きな契約を、国際的な企業と結び始めています。われわれは、イラク政府がこうした商業的な関係を、彼らの経済的な利益のみならず、政治的及び外交的な目的のために利用するだろうと考えています。つまり、こうした国々と商業的な関係を結ぶことで、米国の過剰な影響力に対抗しようと考えているのです。」

 ヒル前大使は、このように要約を書いた後、欧州やロシア、中国、日本、韓国、そしてトルコなどイラクの近隣諸国が、どのような大きな経済権益をイラクから得ているか、または交渉しているかを詳細に報告した。

 莫大な戦費をつぎ込み、数多くの戦死者・負傷者を出しながら「民主化」したイラクで、米国が思うように経済的な利益を得られないでいること。そしてイラク政府が諸外国においしい経済権益を与えることで米国へのカウンター・バランスにしようと企んでいることを、ヒル前大使は苦々しい思いで綴っていたのであろう。

 そして今年末に米軍の撤退が完了すれば、米国の影響力はますます落ちることになると考えられている。

「米軍」は撤退しても「軍事的関与」は続ける

 こうした中で、米国はどのようにしてイラクから米軍を撤退させようとしているのだろうか。結論から言えば、米国は「米軍」そのものの撤退は協定に基づいて実施するものの、「軍事的な関与」はさまざまな形で継続していこうと考えているようである。

 最近の米軍関係者や米国務省高官等の発言を注意深く聞いていると、現在、実施されている米軍のイラクからの撤退は、「米軍からイラク軍」への任務の移譲ではなく、むしろ「米軍から駐バグダッド米国大使館」への権限の移譲であることが分かる。

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「アメリカは本当にイラクから撤退するのか?」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長