「コリアン・グローバル・カンパニー 〜韓国企業に学ぶな!」

隣国として最善を尽くす韓国

第22回:東日本大震災の被災地を支援するアジア

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2011年3月17日(木)

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 3月11日に起きた東日本大震災は、多数の犠牲者を出すとともに東北太平洋沿岸地域を壊滅させる大惨事となった。私も岩手県大船渡市に住む義母や義理の姉家族の安否が分からず、家族とともに眠れない日を過ごした。安否確認ができたのは、3日目の朝の3月14日であった。

 一方、私が勤務している多摩大学でも教職員が、被災地在住の学生たちとその家族の安否確認に追われた。この間に多くの方々から親族の安否を心配する電話や現地情報の連絡を頂き、ヒトとのつながりの大切さを改めて思い知らされた。

 これは、日本の国においても同じではなかろうか。急がれる人命救助と被災者支援、福島の原子力発電所の運転停止などによる電力不足、JX日鉱日石エネルギーやコスモ石油の工場稼働中断など厳しい状況が続いている。

 こうした状況下では、海外からの支援申し入れがどれだけ心強いことか。外務省によると、3月16日現在、合計112の国・地域と23の国際機関から救助隊員・救援物資などの支援申し入れがあったそうだ。特に隣国やアジアの国々が、他人事とは思わず、当事者意識をもって逸早く支援に乗り出している。

 韓国は、李明博(イ・ミョンバク)大統領が、地震直後に隣国として最善を尽くして災害復旧や救助活動を支援するよう指示した。韓国外交通商部は、東日本大震災の救助活動支援のため、第1陣の緊急救助隊5人と救助犬2頭に加え、第2陣として救助隊員や医療要員ら102人で構成する救助隊を被災地に派遣した。韓国救助隊は、韓国空軍C130輸送機3機で、京畿道城南空港から成田空港経由で被災地に向かった。

 また、韓国知識経済部が、自国に輸入する予定の液化天然ガス(LNG)の一部を日本に優先的に供給する方針を明らかにした。原発被災などで電力供給不足が予想される中、日本側が発電用LNGの優先提供を要請したという。韓国は、日本に4月以降も毎月100万〜150万トンのLNGを追加的に輸出する公算が大きい。

 韓国企業も震災支援に向けて準備を進めている。LGグループは、復旧義援金として1億円を寄付すると発表した。また、これとは別に救護団体などと協議し、被災者に生活用品を送る計画だ。サムスングループは、救援金・医療支援・復旧活動・物品支援などを検討中。アシアナ航空は、機内用の毛布・カップメン・ミネラルウォーターなど救援品を送った。他にもポスコ、SKグループ、GSグループなどが支援策を検討している。

韓国への部品供給は?

 一方、韓国政府は、韓国経済への悪影響を警戒し、対策を講じている。特に懸念されているのが、日本からの部品素材の輸入減だ。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、2010年に韓国が日本から輸入した部品素材は、381億ドルで、部品素材の輸入総額の25%を占めている。特に日本からの輸入額が大きいのは、電子部品(2010年68億ドル)、石油化学(同46億ドル)、精密化学(同45億ドル)、産業用電子製品(同30億ドル)である。これらの部品素材の輸入が滞ると韓国の主要産業に大きな打撃となる。

 対策としては、韓国企画財政部の尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)長官が、16官庁による緊急経済政策調整会議を招集し、東日本大震災が韓国経済に及ぼす影響を分析し、各官庁の対応策を練っている。企画財政部は、対日貿易や対日依存度の高い中核部品素材の需給動向の把握に努めている。また、教育科学技術部が原発関連動向、国土海洋部が物流状況、文化体育観光部が観光事業、金融委員会が金融・外為市場をモニタリングしている。

 韓国以外のアジアの国々の支援にも勇気づけられる。

 中国は、温家宝首相が菅直人首相にあてた見舞い電報で支援を表明し、15人の国際救援隊を派遣した。中国国際救援隊は、羽田空港に到着するや否や、岩手県大船渡市の被災地へ向かった。救援隊の代表は、「日本は中国の一衣帯水の隣国で、今回の地震と津波によって、大きな被害を受けたことに深くお見舞いを申し上げる。困難を乗り越え、救援活動に全力を尽くしていきたい」と述べた。また、中国政府が派遣した特別機で、テント900個、毛布2000本、応急照明200台など3000万元(3億7500万円)相当の救援物資を送った。

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著者プロフィール

金 美徳(キム・ミドク)

金 美徳多摩大学 経営情報学部 教授
1962年兵庫県生まれ。早稲田大学院国際経営学修士・国際関係学博士課程修了。(株)三井物産戦略研究所を経て現職(現代韓国論、北東アジア論担当)。



このコラムについて

コリアン・グローバル・カンパニー 〜韓国企業に学ぶな!

サムスン電子、LG電子、現代自動車、ポスコなど韓国企業の躍進ぶりが目立つ。その姿に、日本側からは、「韓国企業に学べ」という声が広がっている。だが、オーナーによる強いリーダーシップや、大胆な設備投資など日本企業では真似しにくい点も多い。両国の企業経営に詳しい筆者は、韓国企業の強さを解き明かしながら「日本企業は韓国から学ぶよりも、その情報をしっかりと収集して自社なりに活用していくべき」と説く。

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