• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

日本食の「安心」が「恐怖」に変わるか?

中国、香港で広がる静かなパニック

  • 熊野 信一郎(香港支局)

バックナンバー

2011年3月21日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 地震から6日目の3月17日の夕方、香港のスーパーマーケットの様子がいつもと違う。売り場、そしてレジに並ぶ客の多さはまるで旧正月前のよう。溢れんばかりの商品をカートに詰め込んでいる客も目立つ。

 売り場にも異変があった。塩がない。隣の棚に山のように積まれた砂糖とは対照的だ。醤油も品薄になっている。米のコーナーには人だかりができている。目当ては日本米だ。「あきたこまち」などのブランド米が、次々にカートに放り込まれる。

 客に殺気立っている様子はないが、とにかく普段と客の数が違う。「マイルドなパニック」という表現が当てはまる。その発端は中国本土にあった。

 この日、中国では塩を求める客がスーパーなどに殺到する「パニック買い」が全土で見られた。ネットや口コミで「食塩中のヨウ素が放射性物質の健康被害を軽減する」「放射性物質で海が汚染されたため塩が不足する」といった科学的根拠のないデマが広がったためだ。塩分が多く含まれる醤油は、その連想として買われた模様だ。

 中国でも香港でも、店に殺到した消費者全てがデマを信じていたわけではないだろう。ただ、過去の経験からデマの威力をよく理解しているため、品不足や価格高騰を恐れとりあえず店に向かう。結果的に、それがパニックを増幅させる。

 塩の価格高騰を懸念する中国政府は、塩の充分な備蓄量をアピールし自制を求めている。自ずと、“塩騒動”はまもなく落ち着くだろう。ただ、日本にとって、さらに被災地にとっても深刻に考えなければならない問題が別に進行している。それが、日本の食に対する「恐怖」の広がりだ。

5ツ星ホテルが「日本の刺身は使わない」

 塩騒動の数日前から、香港では日本製の乳児向け粉ミルクを求める行列があちこちで生まれていた。日本製の乳幼児向製品を扱う専門店では連日の早朝からの行列が当たり前。便乗値上げも問題になっている。

香港の市街地にある日本製の乳幼児向け製品専門店。店内を見ると、粉ミルクの棚だけが空っぽになっていた

 中国、香港では日本製粉ミルクは圧倒的な人気を誇る。中国で粉ミルクのメラミン汚染事件があったこともあり、「安心・安全」「アジア人に向いている」といったイメージが定着している。

 信頼感があるからこそ、パニックを引き起こす。「放射性物質に汚染される」「日本製が入ってこなくなる」といったデマが広がったのだ。震災前に生産した製品を求めようとする消費者も多い。

 現時点では供給量や品質に問題がなく、デマが事実無根であるのは明白。ただ放っておけないのは、粉ミルクだけでなく「日本の食」全体に同じような反応が広がりつつあることだ。

コメント4

「熊野信一郎のクロス・ボーダー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

韓国がダメでも、日本なら技術を見る「目」が投資家にあるはずだ。

崔 元根 ダブル・スコープ社長