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原発事故でロシアなどに天然ガス特需

LNGは台湾1国分の需要が突然増加

2011年3月24日(木)

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 福島原発の事故で、世界の天然ガス業界に突如、追い風が吹き始めた。福島原発の操業停止によって失われた電力を補うには、火力発電所の稼働率を高めることなどが必要になり、化石燃料の追加需要が発生したからだ。そして、その代替燃料の中で有望視されているのが、石油や石炭に比べて燃やした時の二酸化炭素の排出量が少ない、液化天然ガス(LNG)である。

 あるロンドンのLNG関係者は、ざっくりと以下のように試算してくれた。

 「東京電力の最大発電能力(年間)を約7000万キロワットとすると、福島原発の操業停止によって、その7分の1、約1000万キロワットが失われる計算となる。仮に、そのギャップをすべてLNGで賄おうとすると、約1000万トン分/年の追加輸入が必要となる。現実的にはLNG火力発電所の容量に限界があるので、石油火力発電と石炭火力発電も同時に使うことになる。となると、LNGの追加輸入分は500万トン/年くらいではないか」

 LNG、石油、石炭をそれぞれどういった割合で使うのかは、まだ不明である。また、エネルギー需要は天候や季節要因にも左右される。こうしたことから、実際にはどの程度の追加輸入が必要になるのか、正確には分からない。しかし、LNG関係者の間では、日本の原発事故がLNG需要を世界的に大きく押し上げるとの見方では一致している。

台湾1国分のLNGを追加輸入へ

 ちなみにLNGの年間輸入量は、概算で韓国が約2500万トン、インドが約1000万トン、台湾が約500万トン。欧州で最多のスペインが約2000万トン。一方、日本は平時でも約7000万トンで、既にダントツの輸入量を誇っている。つまり、日本で台湾1国分の需要が突然、加わるのだから、日本向けのLNG輸出が世界中の天然ガス産出国にとって商機となることは間違いない。

 LNGを追加輸入するためには、LNG船を追加手配することも必要になる。約500万トンを輸入すると考えた場合、約80隻のLNG船を確保しなければならないという。大雑把に計算すると、毎月6~7隻。先のLNG専門家は、「すでに、至近の需要向けに7~10隻は手配したのではないか」と見る。LNG船は最近、長期の航海が増えている。そのため、既に需給はひっ迫気味であり、夏に向けた電力需要の拡大に備え、LNG船の確保は大きな課題になるだろうという。

 リーマンショック以降の景気後退で、世界的にLNG需要は落ち込んでいた。しかも、米国でシェールガスの開発が進んだことで、LNG業界には逆風が吹いていた。こうした状況が、福島原発の事故を契機としたLNG需要の拡大で、一気に反転する可能性でてきた。

 欧州では、昨年からの景気回復による需要拡大や、2015年頃から北海油田の天然ガス産出量が減少し始めることから、中期的にはLNG需要が高まることが確実視されていた。日本でも、景気回復から2011年から徐々にLNG需要が回復すると見られていた。こうした需要拡大の傾向が、福島原発の事故で一気に前倒しされた格好だ。

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「原発事故でロシアなどに天然ガス特需」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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